「原稿料を払わせて」と言われた日
「すごい才能だ!ぜひ君に書いてほしい!」
とか言われちゃったりして。
そんな風に思ってた時が1番幸せだったかもしれない。
続ければ続けるほど、自分がいかに凡庸で才能がないか突きつけられた。
書くことで収入を得る!と意気込んでフリーランスにまでなってしまった手前、何かしらの実績をあげなくてはならない。
ライターの案件に応募したり
noteコンテストに応募したり
有料noteの販売をしてみたり
まぁ他にも色々。
種を蒔きまくってきた。
それはどれも、自分から「書かせてください」「買ってください」といった類のもので、自ら売り込んで選ばれるのをひたすらに待つという形に違いなかった。
それでも十分に幸せだった。
わずかではあるけれど、書いたもので収入を得るということは実現していたのだから。
そんなある日のこと。

それは実の姉からのLINEだった。
姉とは仲がいいものの、お互い結婚してからは頻繁に連絡を取ることもなくなっていた。それに、元々しっかり者の姉が私にお願い事をしてくるなんて、よっぽどのことだと思った。
一体何事かと思い、すぐに返信をしてみれば、それは原稿の依頼だった。
姉が何かの付き合いで子育て記事を書かなくてはいけなくなったらしく、どうしても自分では書けないという。

320文字なんて、普段noteで何千文字と書いている私にとっては20分もかからないと思った。この記事だってすでにここまでで文字数で580文字だし。お金はいらないとを返信をした。
だけど姉は頑なに断った。
「アンタに書いてほしいんだよ。原稿料はちゃんと払わせて」と繰り返し私に言った。
そんなこと言われたらもう、張り切るしかなくて、渾身の記事を書こうと思った。

初めて私を指名して選んでくれた姉というクライアントに、「アンタにお願いしてよかった」と言われたかった。
結局「である調」と「ですます調」2つの記事を書いて姉に納品した。直しがあるだろうか、期待に応えられただろうか、と返信を待った。

ホッとしたのと照れ隠しとで「作家じゃないし笑」そう返信しようとしてやめた。
姉が私を作家だと思って原稿を頼ってくれて、希望通りのものが書けたのなら、もう姉にとって私は作家になれたのかもしれないと思った。
その後に送られてきた姉からの送金には「原稿料」と記載されていた。

例え身内の贔屓だろうと、1,000円という金額であろうと、これは私が初めて経験した「あなたに原稿料を渡したい」と言われた日。
こちらの企画で『やまだ賞』をいただきました✨嬉しいです。ありがとうございました。
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