ハムスターを飼いたいと言った娘が、プレゼンをした結果が意外だった
娘が、8歳の誕生日に欲しいと言ったプレゼントは、ハムスターだった。
我が家は、集合住宅で、犬も猫も飼えない。近所の猫を、まるで行きつけのバーのような気軽さで撫でにいき、そこの人間のお母さんとも仲良くなるような娘は、昔から生き物好きだった。
といっても、今まで飼ったのはアゲハの幼虫→蝶まで、ヨトウムシ、カタツムリ、メダカ(今年は大量に卵を産み、一気に百匹になった……里子に出す予定)、エビ、くらいで、毛の生えてない生き物しか飼ったことがない。
前々から「サンタさん、大きな犬持ってきてくれないかな」と、無理難題をサンタさんに押し付けていたが、母としては「私は大きな犬が買える家もらいたい」と、さらなる無理難題をサンタさんに押し付け、スルーしていた。
さて、2ヶ月前から「誕生日には一輪車が欲しい」と言っていた娘だが、1ヶ月前になって、急に「ハムスターが欲しい」と言い出した。
我々大人は先ずその話を聞いて、世話をちゃんとやれるのか、や、ハムスターの周りの物を一式揃えなければいけないお金と手間に怯え、すぐに良いよとは言えなかった。
でも、第二子を諦めた今、何か家族が増えるのも娘にとって良いかもしれない。。。
心は揺れる。
そこで娘に、飼うなら本気になってほしくて、プレゼンをしてもらうことを提案してみた。
だって、旅行に行く時には手に乗せて行けばいいじゃないと、言った娘だ。肩に乗せて冒険に行けるのは、塔の上のカメレオンかキツネリスくらいだ。
夢がありすぎる。
気持わかるけど。
○ハムスターとはどんな生き物なのか
○飼い方
○何が必要か
○餌は?
○ケージの置き場所
家にある百科事典、電子図書館の図鑑、ウィキペディア、ホームページ
色々見ながら、8歳に近い7歳は、真剣に調べた。
初めは、小さなロボロフスキーハムスターが良いと言って、性格を調べると、臆病で人になつきにくいとあった。
環境が変わるとびっくりして死んでしまうこともあるらしい。
それを読んで、やっぱり人懐こいゴールデンハムスターにしようと言って、また調べ始める。
おお、中々の集中力。
ケージの大きさを調べ、どこに置けばいいか考えメジャーで測り、プレゼン資料として書いた手書きの、A4はびっしりと埋め尽くされ、パパも私も唸った。
更に仲良くなるコツまで書いてあった。

これなら。
よし、誕生日はハムスターにするか。
親の覚悟が決まった翌日、
意外なことに
朝起きてきた娘が、
「やっぱりハムスターやめる」
と言い出した。
こちらはすっかりその気になって、週末はペットショップかななんて思っていたものだから、エエっ!と仰け反った。
昨日あんなに張り切って調べてたのに!
「なぜ?」
と聞くと、
「だって……寿命が2、3年てかいてあったから。死んじゃったら悲しいから。メダカが死んじゃった時も悲しかったのに、ハムスター死んじゃったらもっと悲しいと思う。」
と、娘が沈んだ声で言った。
そうか。欲しくて欲しくて調べて、調べたからこそハムスターのことをよく知って。知れば知るほど、生き物を飼うことの重さが、娘にとってこたえたんだね。
肩に乗せて旅行に行けると思っていた時は、ハムスターは娘都合の可愛いキャラみたいな存在だったのかもしれない。
調べる、相手をよく知るということは、相手の立場にたつ(人に懐くかとか、移動したらストレスがかかるとか、多頭飼育できないとか)ということなのだ。相手の立場にたつと、相手が心地よく過ごしてもらうためには人間が我慢しなければいけないこともあることに気づく。
そして、どんなに仲良くなっても、ちゃんとお世話しても、寿命が人間よりかなり短いことを知る。必ず、お別れは来るということを、知ったのだ。
そして、自分で決断をした。
飼わない。
という選択を。
大人の方が、若干覚悟を決めていたので、飼わないとなるとさみしい気持ちも残っているが、娘の決断なので仕方ない。パパもちょっと残念そう(笑)。
でも無理に飼っても、いつ死ぬか不安に思いながら飼うのは違う。もう少し、大きくなったら気持ちは変わるのか、どうなのか。見守るしかない。
というわけで、今年の娘の誕生日は一輪車になった。
いずれにせよ、哺乳類の家族はふえなかったけど、鱗のある家族が百匹くらい子を産んだので、我が家は今のところ大家族だ。
