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ikumi_art
娘のひとこと
娘の妊娠が安定期に入った頃のこと。
子どもが生まれる前に、二人で旅行気分を味わってくる——と、地元の観光地に宿をとり、懐石料理と温泉を楽しんできた。
私が
「それ、良かったね。良いなぁ〜」
と言うと、
娘から、思わぬ言葉が返ってきた。
「お母さんも、不倫して行ってくればいいよ」
えっ? 今、何と?
予想外のワードに、軽快な返しが出来なくて悔しい。
(そこじゃない)
「何で不倫? 友達でいいやん⁈」
だって、お父さんと行っても全然楽しくないでしょ。
動かないし、文句多いし……云々。
(夫の尊厳のため、これ以上は控えます)
娘の冷静な分析に、
確かに。
なるほど。
と同意しながら、自分の心の声を代弁されたような気持ちになった。
娘の視点や感覚が感じられた会話だった。
今年のGW。
特別な予定もなく、のんびりと過ごした。
……夫が、ずっと家にいた。
リビングのど真ん中。
テレビと携帯を相棒に、ほとんど動かない。
(詳細は、夫の尊厳のため、またまた控えます)
私は外へ出る。
母の買い物に付き合ったり、
友人とお喋りしたり。
なるべく、家を空ける。
ふと、娘の言葉を思い出す。
「お母さんも、不倫して行ってくればいいよ」
「老後って、こんな感じ?」
そう聞くと、夫は言った。
「俺に老後は無い」
なるほど。
根拠はないけど、少し安心した。
長い連休が終わる。
私は、自分磨きを頑張ろうと思った。
世界は愛でできている
