三毛猫の奥義
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
三毛猫の玉次郎は、ドッジボール大会を目前に控えていた。ライバルのあいつには、どうしても負けたくない。ただの勝負ではない。あいつの言葉を信じ、俺を裏切者だと思っている幼馴染のまりに、本当のことを、まりに。
そのためには、三毛猫の先祖代々伝わる奥義「三毛猫トリプルアクセル」を放つしかない。しっぽで身体を三度ひねり、その回転を魔球に変える禁じ手だ。だが、その衝撃に耐えられるかは、自分次第だった。
玉次郎は回り続けた。しっぽは裂け、血がにじむ。それでも止まらない。あいつの隣で笑うまりの姿が、何度も脳裏をよぎる。
大会当日。包帯を巻いたしっぽを見て、相手チームが騒ぐ。違法だ、と。玉次郎は黙って、あいつを睨んだ。その後ろで、まりが静かに見つめている。
プレイボール。仲間は次々と退場し、残るは玉次郎ひとり。瀕死の身体でボールをつかむ。世界が静まる。信じられない風が会場を吹きあげる。
風の中心で、玉次郎は回る。
そして、ボールが手を離れた。(412字)

毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
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