数式と夜行性の黒板消し
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
僕は日直で、放課後黒板に書いてある文字をきれいに消していた。
夕暮れのオレンジ色に染まる窓際に座り、ふーと溜め息をついた。
この間の数式後もう少しの所で完成したのに、僕は諦めてしまった。
もう一度、もう一度だけあの数式を書いてみよう。
僕は黒板の端から数式を書き始めた。
時間を忘れ僕は数式を書くのに没頭した。
黒板は数式で埋め尽くされた。
まだ続く。隣の教室の黒板にも書いた。
そして完成した。
そう、この数式は僕が考えたもの。
まだ誰も知らない、僕だけの数式。
その時、電話がなった。
母からだった。
僕は急いで、教室を飛び出した。
夜の教室、数式だけが黒板に残ったまま。
窓の外には満天の星が輝く。
夜行性の黒板消しがつぶやく。
「この数字、長年教室に居座っているが、見たことないな」
「じゃ、消さないでおこう。」
次の日、最初に教室に入ってきたのは…
数日後、僕の数式は論文となり、アメリカの学会へ招待された。
(389字)

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