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冷めた時間

シロクマ文芸部企画参加作品

まえがき
冷めていくコーヒーを見つめながら、
過ぎていく時間の中で、人は何を思うのだろう。
愛と責任、迷いと静けさ。
どれもほんの少しの温度差で、
やさしさにも、後悔にも変わっていく。


本文
コーヒーにミルクを入れた。
ブラックで飲むには、今日は胃の調子がよくない。
昨夜はめを外して飲み過ぎたせいかな。
結婚の約束をした彼女とは、最近会っていない。
彼女と会うと、結婚の話を切り出されそうで、
俺はつい避けてしまう。
彼女と結婚したくないわけじゃない。
ただ、もう少し安定した時に結婚したい——そう考えている。
冷めた時間が、ゆっくりと過ぎていく。
彼女も結婚適齢期を過ぎ、俺も責任を感じている。
今の会社もいつリストラされるかわからない。
こんな時に「結婚してくれ」とは言えない。
彼女からのラインも、もうずいぶん来ていない。
ひょっとしたら、新しい彼ができているのかもしれない。
そう思った時、久しぶりにスマホが光った。
彼女からのライン。
その文字に、心が崩れていくのを感じた。
——「結婚しました。最後のラインになります。」
俺は、大切なものを失ったことに、
失ったあとで気づいた。

イラスト:ChatGPT

あとがき
コーヒーが冷めるように、
人の心も、気づかぬうちに温度を失っていく。
でも、そのぬくもりを覚えている限り、
きっと、それは“愛だった”と言えるのだろう。


タグ案
#短編小説 #大人の恋 #冷めた時間 #コーヒーのある風景 #片桐みかんの世界

シロクマ文芸部のお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。


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