泣き虫おに
🍊第51回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「桜を咲かせる猫」
🐾お題②:「月夜のもちつき」
⏳お題③:「泣き虫おに」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
むかしむかし、とても泣き虫のおにが住んでおりました。
お腹が空いたと言っては泣き、一人ぼっちだと言っては泣いていました。
村の佐助は、そんなおにをいつもなぐさめていました。
これは、泣き虫のおにと佐助、そして桜を咲かせる猫のお話です。
本文
むかしむかし、とても泣き虫のおにが住んでおりました。
お腹が空いたと言っては泣き、一人ぼっちだと言っては泣いておりました。
村の佐助は、いつもそんなおにをなぐさめていました。

ある日のこと。
「今夜、餅つきがあるけど、一緒に行くかい?」
佐助がそう言うと、おには目を輝かせました。
「餅つき? 食べれるのかい?」
「うん、お腹いっぱい食べられるよ。」
佐助とおには、月夜のもちつきへ出かけました。
ところが、おにの姿を見た動物たちは驚いて逃げてしまいました。
それを見たおには、大きな声で泣き出しました。
「おいらを見ただけで逃げるんだ。この顔がいけないんだ。」
佐助はなぐさめましたが、おにはなかなか泣き止みません。
すると、隠れていた動物たちが勇気を出して言いました。
「ごめんね。」
おには涙をぬぐいながら答えました。
「いいんだ。わかってくれたんなら。」
その夜、おには餅つきの手伝いをしました。
力持ちのおにがついた餅は、たいそう美味しくて評判になりました。
おには、みんなが喜んでくれる姿を見て、とても幸せな気持ちになりました。

春がまだ来ない寒い日のこと。
佐助はおにに言いました。
「桜を咲かせる猫を探しに行こう。」
となりの村には、春を呼ぶ不思議な猫がいるというのです。
二人は二日かけて、となりの村へ向かいました。
そこは春の陽気のようににぎやかで、桜が美しく咲いていました。
その桜を咲かせていたのは、一匹の白い猫でした。
佐助は猫に頼みました。
「おいらの村にも来てくれないか?」
猫は少し困った顔をしました。
「ああ、いいよ。でも長い時間は歩けないんだ。君の村は近いのかい?」
「ここから二日ほどかかるんだ。」
「それなら申し訳ないけど、行けないよ。」
その時でした。
おには猫の前にしゃがみ込みました。
「おいらの背中に乗りな。案内するから。」
猫は嬉しそうにおにの背中に飛び乗りました。
こうして、おには桜を咲かせる猫を村へ連れて帰ったのです。
やがて寒い冬は去り、村には美しい桜が咲きました。
人々は笑顔になり、おにも嬉しそうに桜を見上げていました。
その顔に、もう涙はありませんでした。

あとがき
泣き虫だったおには、優しい佐助と出会い、たくさんの仲間たちと出会いました。
誰かに受け入れてもらうこと。
誰かの役に立つこと。
それは、おにの心を少しずつ強くしてくれたのです。
春になるたび、人々は桜を見上げながら思い出します。
あの桜は、泣き虫だったおにと、桜を咲かせる猫が運んできてくれた春なのだと。
おしまい。
この物語はフィクションです。
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