ヒット・エンド・バント
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
僕はいつも万年補欠。公式戦でもベンチを温めるのが仕事だった。
だが、その日だけは違った。3対3の同点、9回裏。1アウト。
監督が耳打ちする。「お前がバントを練習してきたのは知っている。いいか、ヒット・エンド・バントだ」
僕はうなずき、打席に立つ。
初球ストレートでストライク。2球目、バントの構えを見せると、ピッチャーは変化球。空振りでツーストライク。
ここで結果を出さなければ、また万年補欠に戻る。
振りかぶった――来い、ストレート。
僕は一、二塁間へコツンと転がした。全速力で駆ける。送球、そして滑り込み。
セーフ。二塁走者も進塁した。
成功だ。ヒット・エンド・バント。
そのとき、ポケットから木工用ボンドが転がった。
これは僕のおまじない。
名付けて――木工用バント。(325字)

毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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