おじいさんの作った笠
🍊第42回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「かさじぞうと雪の夜」
🐾お題②:「山の神さまと小さな村」
⏳お題③:「川から流されてきた不思議の箱」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
🌸まえがき
雪の降る夜。
おじいさんとおばあさんの、小さな暮らし。
寒さの中にも、ぬくもりがある――
そんな物語です。
🌸おじいさんの作った笠
「おじいさん、今日も雪がやみませんね。」
「そうだなぁ。おい、お米がそろそろなくなる頃じゃないか。」
「あら、大丈夫ですよ。」
「いや、わしが行こう。
笠を売りに村まで行ってくる。
売れたら、お米を買ってくるからな。」
「おじいさん、こんな雪の日は家にいた方がいいですよ。」
「大丈夫じゃ。いつもの道じゃから。」
そう言って、おばあさんの止めるのも聞かずに、おじいさんは雪の中へ出ていきました。
笠には雪が積もり、足も雪に埋もれていきます。
「おばあさん……わしも、ここまでかもしれんのう。」
そう思ったとき、ふとお地蔵さまが目に入りました。
「おや……冥土に着いたんかのう。なら、この笠もいらんか。」
おじいさんは、ひとつひとつ、お地蔵さまに笠をかぶせていきました。
「地蔵さん……おばあさんのことが気がかりじゃ。
米もなく、身体も弱っておる。
このままでは、命が尽きてしまうかもしれん……。」
その言葉を、山の神が静かに聞いていました。
そのころ、おばあさんは家で、おじいさんの帰りを待っていました。
米びつには一粒の米もなく、薪も尽き、身体はすっかり冷えていました。
そのとき、どこからともなく声がしました。
「川へ向かうのじゃ。その先に流れてくる箱を、必ず持ち帰るのだ。」
導かれるように、おばあさんは川へ向かいます。
しばらくすると、不思議な箱が流れてきました。
ふわりと軽いその箱を、おばあさんは大事に抱えて家へ持ち帰りました。
「おじいさんが帰ったら、一緒に開けましょう。」
一方そのころ――
おじいさんは、山の神さまと、小さな村のような場所にいました。
笠をかぶせた地蔵たちと、雪の夜を過ごしながら、
「わしはもう、この世にはおらんのかもしれん……」
そんなことを思っていました。
そのとき――
「おじいさん……」
どこからか、聞き慣れた声がします。
「……おばあさん?」
声のする方へ歩いていくと、そこには元気な顔のおばあさんが立っていました。
「おじいさん、どこに行ってたんですか。」
「それより……元気そうじゃのう。」
「ええ。不思議な箱を川で拾ってきてから、すっかり元気になったんですよ。」
「それにね、私の作ったおはぎが評判になって、少しお金も入るようになりました。」
「でもね……もち米が、いつもあるんです。不思議でしょう?」
おばあさんは、にこりと笑いました。
「どうやら、おじいさんの作った笠をかぶったお地蔵さんが、持ってきてくれているみたいですよ。」
おじいさんは、静かにうなずきました。
外では、雪がやさしく降り続いていました。

あとがき
寒い夜の中でも、
誰かを思う気持ちは、やさしく灯り続けます。
おじいさんの小さなやさしさが、
めぐりめぐって、ふたりのもとへ戻ってきました。
ぬくもりは、形を変えて、
どこかで誰かを支えているのかもしれません。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)