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麦わら帽子の夏

🍊第57回 3つのお題(昭和ノスタルジー)
🎈お題①:「レコード屋の午後」
🐾お題②:「日曜日のカレー」
⏳お題③:「麦わら帽子の夏」

お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。

レコード屋の午後

夏子は夏休みの間、町の小さなレコード店でアルバイトをしていた。

お客さんはほとんど来ない静かな店。

ふと目に留まった洋楽のアルバムをプレーヤーに乗せると、店内に心地よい音楽が流れ始めた。

しばらくすると、一人の外国人のお客さんが店に入ってきた。

夏子は笑顔で迎え、流れるような英語で接客をする。

そのお客さんは日本のニューミュージックが大好きで、アルバムを三枚選んで買っていった。

後日、その人がSNSに「日本のレコード店」というハッシュタグを付けて投稿したことで、思いがけない出来事が起こる。

一週間後。

静かだったレコード店は、多くのお客さんで賑わっていた。

「英語で接客してくれた店員さんが、とても親切だった。」

そんな口コミも広がり、夏子の評判は町中に知れ渡った。

イラスト:ChatGPT

日曜日のカレー

アルバイトを終えた夏子は、久しぶりに実家へ帰った。

食卓には、大好きなカレーの香りが広がっている。

父さん、母さん、弟、妹。

家族みんなで囲む食卓は、何でもないのに、とても幸せだった。

「夏子姉ちゃん、彼氏できた?」

弟がニヤニヤしながら聞く。

「夏子姉ちゃんは、隣の慎ちゃんが好きやねん。」

「そないなこと、面と向かって聞く?」

夏子は顔を真っ赤にした。

すると、おとうさんが真顔で口を開く。

「聞きたい。今すぐ。」

「おとうさんまで!」

「ほな、わても聞きたい。」

母さんまで加わり、家族全員が夏子の返事を待っている。

その時――

ガラガラッ。

玄関の戸が開いた。

「なっちゃん、帰ってきてるんやろ?」

「あ、慎ちゃんや。」

「上がって、上がって。」

「おかあさん、このタイミングでなんでまた……。」

「慎ちゃん、カレー食べてく?」

「はい。もちろんいただきます。ついでになっちゃんも。」

「ちょっと待った!」

おとうさんが、真面目な顔で会話に割って入る。

その姿がおかしくて、

みんなは大笑いした。

イラスト:ChatGPT

麦わら帽子の夏

食事が終わると、慎ちゃんが懐かしそうに言った。

「そう言えば、あの頃のなっちゃん、かわいかったな。」

「あの頃って、いつよ。」

「麦わら帽子かぶって、一緒にプールへ行ってた頃。」

「そんな時もあったわね。……じゃあ、今は?」

「今か……。」

慎ちゃんは少し照れた。

「あっ、慎ちゃん照れてる。」

「はよ、『好きや』言いなはれ。」

弟がすかさず茶化す。

「そんなこと、おとうさんの前で言うたら、どないなるか。」

「そうや。生きては帰れん。」

父さんが真顔で答える。

「ほらな。だから言えんのや。」

「あっ、言うつもりやったんやな。」

「あ、あかん。こりゃ一本取られました。」

また家中に笑い声が響く。

笑っていないのは、おとうさんだけだった。

しばらくして慎ちゃんが言った。

「花火するか?」

「うん、する。」

みんなで砂浜まで歩いて行く。

「ほな、打ち上げ花火あげるで。」

夜空いっぱいに大きな花火が咲いた。

弟と妹は歓声を上げる。

「なっちゃん、いつ帰るの?」

「一週間後。」

「なぁ……デートせえへん?」

「ええで。」

「ほな、いつもの場所で待ってる。」

「うん。」

イラスト:ChatGPT

あとがき

夏の恋は、ひと夏で終わるのでしょうか。

それとも、一途に想い続けた慎ちゃんの気持ちは、なっちゃんへ届くのでしょうか。

夜空には、色とりどりの花火が咲き続けていました。

※この物語はフィクションです。

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