カイルとフレアウルフの物語
🍊第43回 3つのお題
🎈お題①:「夢を食べる獣」
🐾お題②:「空を閉じ込めた瓶の中の王国」
⏳お題③:「影を持たない騎士の帰還」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
まえがき
空を閉じ込めた瓶の中の王国――エルフィリア王国。
影を持たない騎士と、夢を食べる獣。
かつて同じ志を持っていたふたりの、ひとつの物語です。
カイルとフレアウルフの物語
空を閉じ込めた瓶の中の王国――エルフィリア王国は、かつてないほどの混乱に満ちていた。
結界が破られ、小さな子どもたちが、夢を食べる獣――フレアウルフにさらわれることが、度々起きていた。
そこに現れたのが、影を持たない騎士カイル。
カイルは密かに、エルフィリア王国を出た。
王国の外で生きられる時間は、48時間。
その間に子どもたちを見つけなければ、カイルは命を落とす。

だが、カイルには秘策があった。
フレアウルフの弱点を知っていたからだ。
フレアウルフは、かつての騎士。
それも、カイルの親友だった。
ふたりはかつて、エルフィリア王国を守っていた。
――あの事件が起きるまでは。
フレアウルフは、ある日、小さな子どもを洞窟で助けた。
その子が元気になるまで、そばで見守っていた。
しかし、食料を手に入れるために洞窟を離れた、ほんのわずかな間に――
子どもは姿を消した。
どこを探しても、見つからない。
その日を境に、フレアウルフは子どもをさらうようになった。
寂しさを埋めるために。
そう考えたカイルは、フレアウルフが住んでいた雪の洞窟へと向かった。
残された時間は48時間。
だが、歩いていては間に合わない。
それでも行かなければ、また子どもがさらわれてしまう。
カイルは王の白馬を借りた。
美しい白馬は、カイルを乗せて駆け出した。
しかし、行く手を大吹雪が阻む。
白馬は懸命に進むが、やがて力尽きてしまう。
カイルはひとり、吹雪を抜けた。
そして、ようやく雪の洞窟へたどり着く。
残された時間は、あと24時間。
子どもを助けても、間に合わないかもしれない。
洞窟の中は不思議と温かく、子どもたちの笑い声が響いていた。
フレアウルフの姿はない。
カイルは子どもたちに近づき、助けに来たことを伝える。
だが、子どもたちは帰らないという。
なぜだ、と問うと――
ここは、勉強も何もしなくていい。
好きなことばかりしていられる。
とても楽しい場所だから、と。
さらに、子どもたちは言った。
フレアウルフのことが、とても好きだと。
カイルは言葉を失った。
時間だけが、静かに減っていく。
そこへ、フレアウルフが戻ってきた。

久しぶりに見るその姿は、以前よりもひと回り大きくなっていた。
「なぜ、子どもたちをさらう?」
カイルの問いに、フレアウルフは静かに答える。
「僕はさらってなんかいない。
子どもたちが、自分で来たんだ。」
「そんなはずはない。」
「じゃあ、子どもたちは帰ると言ったかい?」
カイルは、言葉を失う。
「僕は無理に連れてきたわけじゃない。」
「この子たちの将来はどうなる?」
カイルの問いに、フレアウルフはわずかに笑った。
「将来?
エルフィリア王国が、本気で子どもたちの未来を考えていると思うかい?」
その言葉に、カイルの胸が揺れる。
「忘れたのかい?
僕たちは王国に命を捧げた。
でも――王国は変わったか?」
しばしの沈黙。
やがてフレアウルフは、静かに言った。
「子どもたちを連れて帰るがいい。
でも決めるのは、この子たち自身だ。」
子どもたちの決断は――
影を持たない騎士の帰還を、
エルフィリア王国はただ静かに待ち続けている。

🌸あとがき
雪の洞窟に残る笑い声と、
王国に戻るべき未来。
どちらが正しいのかは、きっと誰にも決められません。
それでも、選ぶのは子どもたち自身。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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