ほころびを求めて
「毎週ショートショートnote」の裏のお題「ほころびタンシチュー」
に書かせて頂きまいした。お題をありがとうございます。
ほころびを求めて(約408字)
片桐みかん
街角にひっそりとたたずむ、古びたレストラン。
定員は7名。椅子が7つしかないからだ。
この店の名物は「タンシチュー」。
よく煮込まれたタンは、口に入れるとふわりとほぐれ、
自然と頬がゆるむ。
いつしか人々は、これを「ほころびのタンシチュー」と呼ぶようになった。
心に重たい荷物を抱えた人も、
前に進む勇気が持てない人も、
なぜかこの店に引き寄せられる。
店の主人は、注文を取らない。
ただ、黙って鍋のふたを開ける。
湯気の向こうに浮かぶ、やさしい香り。
「いただきます」と言ったとたん、
何かがゆるみ、涙がこぼれる人もいる。
今日もまた、ひとりの客が扉を開けた。
ようこそ、
“ほころび”を求めてきたあなたへ。

あとがき
心の奥のほころびに、そっと寄り添うような一皿を。読んだ方の表情が、少しでもゆるんでくれたら嬉しいです。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)