エベレストのイルミネーション
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
まえがき
高い山の冬は、厳しく、そして少し寂しい。
けれど、そこに小さな灯りがともったら、
きっと心まであたたかくなる――
そんなことを想いながら、このお話を書きました。
本文
エベレストの近くに、小さな村がありました。
そこはとても高い場所にあり、住んでいるのは、おじいさんと、犬と、やぎと、牛だけでした。
おじいさんは、エベレストに登る人たちのために、休憩所を作っていました。
そこへ、毎年やってくる夫婦がいました。
その夫婦は、冬の山を見渡して言いました。
「冬の山は、どこか寂しげですね。
イルミネーションで飾りをつけませんか?」
そう言って、夫婦は大きな木に飾りを取りつけ始めました。
けれど、おじいさんは首をかしげます。
「ここには、電気がないんじゃよ」
すると夫婦は、にっこり笑って答えました。
「大丈夫です。
太陽光の蓄電池で、イルミネーションは光りますから」
おじいさんは、
そんなもので本当に光るのか、まだ信じられませんでした。
夜になり――
おじいさんは、窓の外にやさしく光る、美しい灯りを見つけました。
「おお……」
「これが、キャトルイルミネーションというのか」
牛も、やぎも、犬も、おおはしゃぎ。
エベレストの山に輝くイルミネーションは、
静かに、やさしく、夜を照らしていました。(444字)

あとがき
電気がなくても、
寒さが厳しくても、
光は、ちゃんと届く。
必要なのは、少しの工夫と、
誰かを想う気持ちなのかもしれません。
今日も、どこかの山や町で、
やさしい光が灯っていますように。
※この物語はフィクションです。
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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