雨上がりのドラゴン
🍊第51回 3つのお題(ファンタジー)
🎈お題①:「月のブランコ」
🐾お題②:「雨上がりのドラゴン」
⏳お題③:「七色の扉」
お題④イラストから空想した世界を書いて下さい。
雨上がりのドラゴン
まえがき
雨が上がったある日のこと。
私は大きな銀色のドラゴンに出会いました。
ドラゴンといえば、空を飛び、炎を吐き、魔法を使うものだと思っていましたが、このドラゴンは少し様子が違っていたのです。
本文

大きな銀色のドラゴンが私に声をかけてきました。
「最近、爪切りができんのや。手伝ってくれへん?」
「なんでやねん。あんた、魔法かなんかで切ったらええやん。」
「そんな、爪切りごときに魔法なんかつこうたら、師匠に怒られますがな。」
「え、あんたに師匠おんねん?」
「あー、1000年前に亡くなったけどな。」
「そんな、もうあんた1000年も生きてますの?」
「そうでんな。なぁ、爪切り手伝って。頼むさかい。」
「わかりました。で、爪切りは……。」
ドラゴンが差し出した爪切りを見て驚いた。
「うわー、でか。」
パッキン、パッキン。
巨大な爪切りでドラゴンの爪を切っていく。
「よう切れますな。」
「爪切りは切れんと、爪の形が悪くなりますから。」
ドラゴンは妙に真面目な顔で答えた。
しばらく爪を切っていると、私は気になっていたことを聞いてみた。
「なぁ、月夜のブランコって知ってる?」
「知ってますよ。」
「乗ってみたいなぁ。」
「あれは気まぐれやから、いつ現れるかわてにもわかりません。」
「そうなんや。」

さらに私は聞いた。
「七色の扉の場所も教えてくれへん?」

ドラゴンはあきれた顔をした。
「あんさん、欲の皮厚いな。」
「そうか。面の皮は厚いて言われる。」
「アホか。」
私は負けじと続けた。
「なぁ、爪切りのお礼に人肌ぬいてや。」
するとドラゴンは真顔で言った。
「人肌ぬいたら、鱗がとれます。」
「アホか。」
雨上がりの空には虹がかかっていた。
「なぁ、雨も上がったことやし、家まで送ってくれへん?」
「ほんま、爪切りを頼んだばっかりに余計な仕事が増えたで。」
「そない言わんと。また爪切ったる。」
ドラゴンは少し考えてから言った。
「そうか。次に伸びるんは100年後やで。」
「そんな、アホな。」
あとがき
月夜のブランコにも乗れず、七色の扉の場所もわからないままでした。
それでも、銀色のドラゴンの爪切りを手伝ったことだけは、忘れられない思い出になりました。
もし100年後にまた会えたら、今度は爪切りではなく、月夜のブランコまで乗せてくれるかもしれません。
もっとも、その頃には私の方が爪を切ってもらわないといけないかもしれませんが。
おしまい。
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