ときどきつぶやく狛犬
毎週ショートショートnoteの企画参加作品
まえがき
神社には、人の声が届かないところで、
神さまよりもよく人間を見ている存在がいます。
今日は秋の東照宮で、そんな“狛犬たちのぼやき”を聞いてみましょう。
本文
秋の衣をまとい、東照宮はにぎわいを見せていた。
門の入り口にある狛犬が、ぼそりとつぶやいた。
「おいらたちのことを拝むやつはいないな」
「そうさ、おいらはここで悪い奴を監視してるんだから」
「でも、たまにはおいらたちに“ありがとう”とか“感謝してます”とか、“これ、よかったら食べてください”とかよぉー、欲しくないかい?」
「まぁ、本音を言えば、感謝されたいさ」
風が吹き抜け、金色の落ち葉が狛犬の足元を転がる。
「東照宮もすっかり秋になったな」
「お、そういえば、この間カップルがけんかしてたな。
その後、仲直りしたかな?」
「いや、あれは無理だろ。二股かけてたのがバレちまったんだからな」
「東照宮は人気のスポット。いつ誰と出くわすかわからない。ありがたい場所さ」
「だから別名、“ときどき東照宮”っていうんだよな」
「え?“ときどき”かい?
おれは“どきどき東照宮”と思ってたぜ」
「……あ、それもいいな。
秋の東照宮に来られる際はご注意を」
(408字)

あとがき
人が集まる場所には、笑いも涙もこぼれます。
それをじっと見守る狛犬たちは、もしかすると
いちばん人間くさい存在かもしれませんね。
※この物語はフィクションです。
毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)