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体育祭前夜

毎週ショートショートnoteの企画参加作品

まえがき
「ほんわか台風」——聞いただけで思わず笑ってしまうような言葉。
でも、もし本当にそんな台風があるとしたら?
信じてもらえない“子どもの感覚”が、
やがて静かな真実にたどりつく、そんな不思議なお話です。


本文
明日は「ほんわか台風」が接近する予報です。

味噌汁をすすっていたみつるくんは、思わず噴き出してしまいました。

「何してるの。」
「だって、ほんわか台風が接近するとか言うからだよ。」
「そんなこと天気予報が言うわけないでしょ。」
「本当に言ったんだよ。」
「はいはい、ご飯食べなさい。」

おかあさんは笑って取り合いませんでしたが、
みつるくんはすっきりしません。

ラインで友だちに聞いてみました。
——夕方の天気予報、見た? 台風のこと、なんて言ってた?

何人にも聞いたけれど、返ってくるのは「台風」という言葉だけ。
「ほんわか」なんて誰も聞いていません。

それでも、みつるくんは確かに聞いたのです。

夜になっても気になって、なかなか眠れませんでした。

そして迎えた朝。
少し風は強いけれど、雨は降っていません。
体育祭は予定どおり行われるようです。

みつるくんは念のため、もう一度天気予報を確認しました。
今度は忙しいおかあさんも一緒に。

——台風は今夜、熱帯低気圧になる見込みです。

「みつる、学校に遅れるよ。ほら、体操服と水筒!」

学校でも、みつるくんは“ほんわか台風”の話をしました。
でも、みつるくん以外は誰も聞いていなかったのです。

——聞き間違いだったのでしょうか? それとも……

その夜の新聞、天気予報の欄に小さな記事がありました。

『ほんわか台風が接近』

みつるくんの話は、本当だったのです。(577字)


あとがき
誰も信じてくれないけれど、自分だけが確かに感じた“何か”。
それはきっと、心のアンテナが受け取った小さな奇跡。
ほんわか台風は、
優しい風で人の心をくすぐりながら、
今日もどこかの空を通り過ぎているのかもしれません🍃
※この物語はフィクションです。

毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。


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