七転び、やっと起き
アマノ文筆クラブの企画参加作品
まえがき
七転び八起き、という言葉はよく聞きます。
でも現実は、そんなにきれいには起き上がれないことの方が多い。
転びすぎて、もう起き方を忘れてしまうこともある。
これは、そんな「やっと起きた」男の話です。
本文
俺は失恋と暮らしている。
小学校の頃から、告白したらフラれを繰り返した常習犯だ。
大人になると、告白することすら考えなくなっていた。
それでも、俺の前に女神が現れた。
脈があると踏んだ俺は、ムードのいいレストランに彼女を誘った。
彼女は、承諾してくれた。
俺は、やっと失恋との暮らしにピリオドが打てる。
そう確信していた。
レストランで、俺はドキドキしながら待っていた。
すると彼女は、なぜか連れとやってきた。
男性だ。
嫌な胸騒ぎがした。
まさか、そんな、はずは……。
まさかも、そんなも、はずも……外れなかった。
彼女は言った。
「私、結婚するの。祝福してね。」
俺は彼女の目を見ずに、席を立った。
俺の七回目の告白は未遂に終わったが、結果として完全にフラれた。
街の灯りは、俺の心とは裏腹に、やけにまぶしく光っていた。
俺はもう、誰も好きにならない。
そう誓った。
――あの子を見るまでは。
七転び、やっと起き。
そう思える日が、俺にもやってきた。
失恋と別れるチャンスは、まだ残っている。

あとがき
七回転んで、八回目に華々しく立ち上がる。
そんな人生ばかりじゃない。
転び続けて、心がすり減って、
それでもどこかで「もう一度だけ」と思ってしまう。
それが、やっと起きた瞬間なのかもしれません。
失恋と別れるチャンスは、
意外と、人生の途中にそっと置かれているものです。
※この物語はフィクションです。
アマノ文筆クラブのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします😊これからも続けていく”未来の種”になります。よろしくお願いします。(❁´◡`❁)