探検と恐怖とスープ
せりふ三題噺の企画参加作品
小さい頃、私はよく近所の子どもたちを従えて探検に出かけていた。
山道を登っていくと、小さな川が流れている場所があった。
「見て、光ってる!」
としちゃんが大きな声をあげた。
みんなで、どこどこと辺りを見回す。暗がりの中で、その光は二つ並んで見えた。
少しずつ近づいて見えてきたのは――ハブの目だった。
「逃げろ!」
そう叫ぶ前に、みんなものすごい勢いで山道を駆け下りていた。
その後しばらくは、誰もその場所へ近づこうとはしなかった。
けれど、子どもの心というのは不思議なもので、怖いものほどまた見たくなる。
私は再び探検に行こうと近所の子どもたちを誘ったが、誰もついてこなかった。
仕方なく、一人で探検に出かけた。
住宅の裏には、草ぼうぼうの空き地があり、その奥には沼のような場所があった。
虫よけスプレーをかけ、蚊が近づかないようにする。
沼の周りには、ヤモリやオタマジャクシ、とんぼやたくさんの虫たちがいた。
カサッ――。
草むらの奥で音がした。
見ると、また光る目が二つ。
私は一目散に駆け出した。
私の育った奄美大島には、満天の星が広がっている。
窓の外には、こぼれ落ちそうなほどの星々。
宇宙の中に浮かぶ小さな島で、空想好きの私は、星を見ながらいろいろな世界を想像していた。
「ご飯よ」
階下から母の声が聞こえた。
階段を下りると、テーブルには私の好きなちらし寿司と温かいスープが並んでいた。
そうか。
今日は、私の誕生日だったんだ。
おわり

せりふ三題噺に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。
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