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おばあちゃんの火鉢

まえがき

冬になると、
ふとよみがえる景色があります。
それは、火のぬくもりと、
笑顔の記憶です。


おばあちゃんの火鉢

寒い冬になると、
おばあちゃんは小さな火鉢に炭を入れ、
つきたてのお餅を焼いてくれた。

ぱちぱちと音を立てる炭の上で、
お餅は少しずつふくらみ、
こんがり焼き色がつくころには、
まるで笑っているみたいだった。

それを食べた私も、自然と笑う。
私が笑うと、おばあちゃんも笑っていた。

あの頃は、
それが当たり前の冬の景色だった。

今はもう、
おばあちゃんが小さな火鉢で
つきたてのお餅を焼くことはない。

――おばあちゃんは、お餅プロだった。
ふと、そんなことを思う。

寒い冬の日、
私は祖母の家から持ってきた
小さな火鉢を押し入れから出した。

炭をおこし、
スーパーで買ったお餅を網にのせる。

ぱちぱちと音がして、
お餅がふくらんでくる。

お餅は、やっぱり笑っていた。

それを食べた息子も、笑っていた。
そして、その様子を見ていた私も、笑った。

きっと、
お餅の焼き方だけじゃない。

人を笑顔にする時間を知っている人が、
本当の「お餅プロ」なんだと思う。


イラスト:ChatGPT

あとがき

火鉢も、
お餅も、
笑顔も。

形は変わっても、
ぬくもりは、
ちゃんと受け継がれている。

そんな気がした冬の日でした。
※この物語はフィクションです。

毎週ショートショートnoteのお題に書かせて頂きました。
お題をありがとうございます。


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