瞳の国
風まかせ文芸部の企画参加作品
【まえがき】
色の違いだけで、町の空気や文化が変わっていく――
そんな不思議な世界を、ふと「瞳」という言葉から想像してみました。
瞳は、その人の心や気質を映す場所でもあります。
だからこそ、瞳に色があるなら、そこにはきっと物語がある。
そんな直感のままに紡いだ、小さな神話のお話です。
【本文】
『瞳の国』
中世ヨーロッパのどこかに、
“瞳の国” と呼ばれる不思議な国があった――
そんな話を、あなたは聞いたことがありますか?
瞳の国には、4つの町がありました。
ひとつ目は 黒い瞳の町。
静かな町で、言葉は少なくても、そっと寄り添う空気が流れていました。
ふたつ目は 緑の瞳の町。
深い森の中にあり、風と音楽がいつも一緒に歩いていました。
みっつ目は 青い瞳の町。
知恵にあふれ、人々は未来のことを語りながら暮らしていました。
よっつ目は 茶色の瞳の町。
食べ物や雑貨の店が並び、暮らしを支えるあたたかさが満ちていました。
4つの町は互いを思いやり、
瞳の国は、ひとつの大きな家族のように平和に続いていきました。
誰もが、その幸せが永く続くと信じていたのです。
……けれど、ある日。
国にやって来た “新しい瞳” が、
その長い平和にひびを入れました。
その瞳は、
見た人の心に満たされない欲を生み、
望みを刺激し、
やがて4つの町は争いへと向かっていきました。
奪い合いのあとに残ったのは、
国の姿ではなく、
ただ静かに語り継がれる “ひとつの神話” だけ。
それが――
瞳の国の、最後に残ったお話です。

【あとがき】
瞳には、その人の心が映ると言われます。
もし国全体の瞳が揺れてしまったなら、
世界はどんなふうに姿を変えてしまうのでしょうか。
平和は壊れるものではなく、
“守られ続けてこそ存在する” もの。
瞳の国の物語は、そんな静かな問いをそっと投げかけてくれる気がします。
読んでくださり、ありがとうございました。
※この物語はフィクションです。
風まかせ文芸部のお題に書かせて頂きました。
iさん、お題をありがとうございます。
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