本のすきまの街
🍊第31回 3つのお題
🎈お題①:「空にしまい忘れたもの」
🐾お題②:「魔法が遅れて届く日」
⏳お題③:「思っていたより、やさしい世界」
まえがき
「書けるかな」と思う日は、
だいたい、
静かな物語が待っています。
これは、
空に浮かぶ本屋と、
少し遅れてやってきた魔法のお話。
本のすきまから、
そっと、のぞいてみてください。
3つのお題に空想のひらめきを
本のすきまの街
雲に浮かぶ本屋の主人、彼は、
今日も「空にしまい忘れたもの」を
探していた。
今日は、
頼んでいた魔法が
少し遅れて届く日でもある。
たしか、
この棚と棚のあいだに
はさめた気がする。
雲が、ゆれた。
雨雲が近づいてきたようだ。
――雨の図書館に
置き忘れたのかもしれない。
彼は探すのをやめて、
雨雲の行方を
しばらく眺めていた。
魔法の本は、
濡れないだろうか。
本は濡れても、
乾かせば直せる。
でも、気まぐれな魔法は、
そのまま
どこかへ行ってしまうかもしれない。
少し、冷えてきた。
温かい飲み物でも飲んで、
本の到着を待とう。
そう思ったとき、
何かが
こちらへ近づいてきた。
――あ、ぶつかる。
彼のカップが、
雲の床に落ちた。
魔法の本が、
届いたのだ。
本を注文した魔女に知らせると、
「雨雲がいなくなってから行くわ」
そんな返事が返ってきた。
やがて雨雲は遠のき、
雨上がりの空に
虹の橋がかかった。
彼は、つぶやいた。
ここは、
思っていたより、
やさしい世界かもしれない。
本のすきまを、
のぞいてみてください。
なにかが、
見えるかもしれません。
おしまい

あとがき
忘れ物は、
ときどき、
いい場所に残っています。
少し遅れて届いたものが、
ちょうどいいところに
落ち着くこともある。
このお話が、
あなたの
「本のすきま」になりますように。
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