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嫌だったことが突然「楽しい」に変わる瞬間|人間の主観価値は行動中にも変わる

嫌だったことが突然「楽しい」に変わる瞬間|人間の主観価値は行動中にも変わる


前回は、

「昨日の自分と今日の自分は別人なのか?」

を考えた。

同じ人でも、

眠気。

疲労。

気分。

天気。

他の予定。

人間関係。

その瞬間の状態によって、同じ行動の価値は変わる。

昨日は本当に楽しみだったのに、

今日になると本当に行きたくない。

これは単純な矛盾ではなく、

評価する条件が変わったことで、主観的な価値が変化した

と考えることもできる。

しかし、ここでさらに面白いことがある。

価値が変わるのは、

行動を始める前だけではない。

行動を始めた後にも変わる。

しかも時には、

「嫌だ」

が、

「楽しい」

へ大きく反転することすらある。

今回は、

人間の主観価値は、なぜ途中で反転するのか?

を考えてみたい。


「接待ゴルフか……」から始まる

例えば休日。

今日は接待ゴルフ。

朝早い。

移動も長い。

本音では家で寝ていたい。

前日の夜から、

「明日ゴルフか……面倒だな」

と思っている。

でも仕事なので仕方なく行く。

この時点では、

ゴルフに対する主観的な価値はかなり低い。

むしろ、

休日が潰れる。

眠い。

移動が面倒。

気を遣う。

というコストの方が強い。

それでも、

断った場合の仕事上の不利益を避けるために参加する。

前回までの言葉を使えば、

これはかなり回避的な行動だ。


ところが現地に着くと状況が変わる

ゴルフ場に着いた。

天気がいい。

思ったより暖かい。

最初のショットがうまくいった。

取引先とも意外と話が合う。

笑いも起きる。

さらに相手から、

「実は来年度、こういう案件を考えていて」

という話まで出てきた。

すると、

朝までの、

「接待ゴルフか……」

が、

少しずつ、

「接待ゴルフ、悪くないな」

に変わる。

さらにスコアまで良くなってくる。

仕事の話もうまく進む。

終わる頃には、

「結構楽しかった」

になっているかもしれない。

朝と夕方で、

同じ「接待ゴルフ」に対する評価が変わっている。


行動そのものは同じなのに、意味が変わった

ここが面白い。

ゴルフ場は同じ。

参加者も同じ。

朝早く起きたことも変わらない。

移動時間も変わらない。

つまり、

客観的なコストの多くはそのまま残っている。

それなのに、

本人の評価が変わった。

なぜか。

行動を開始した後に、

予想していなかった報酬が追加されたからだ。

楽しい。

うまく打てた。

会話が盛り上がった。

仕事につながりそう。

こうした新しい情報が入ることで、

「この行動にはどれくらい価値があるか」

という評価が更新された。


接待が突然楽しくなる場合もある

もう少し分かりやすい例もある。

仕事の接待で飲みに行く。

本人は、

「今日は早く帰りたかったのに」

と思っている。

仕方なく店へ行く。

この時点では、

完全に仕事。

楽しいから行くのではなく、

付き合いだから行く。

ところが店に着く。

その場の雰囲気がいい。

話が予想以上に盛り上がる。

面白い人と出会う。

すると、

「仕事だから仕方なく」

だった時間が、

普通に楽しい時間

へ変わることがある。

最初は回避だった。

しかし途中から、

その場にいること自体に報酬が生まれる。

つまり、

回避で始まった行動が、接近へ変わった

とも考えられる。


人間は行動前の予想だけで価値を決めているわけではない

人間は何かをする前、

「たぶん楽しい」

「たぶん面倒」

「たぶん嫌だ」

と予想する。

しかし、この予想は完璧ではない。

実際に行ってみると、

思ったより楽しい。

思ったより楽。

思ったより面白い。

逆に、

期待していたほど楽しくない。

思ったより疲れる。

人間関係が悪い。

ということも起こる。

つまり、

行動前の主観価値は、

実際の経験によって修正される仮の評価

なのかもしれない。


「嫌だから行かない」は合理的でも、予測が外れることがある

例えば、

「どうせつまらないから行かない」

という判断をする。

その時点で本人にとっては合理的だ。

つまらないと思っている。

移動も面倒。

お金もかかる。

なら行かない。

しかし問題は、

「つまらない」という予測が本当に正しいのか

ということだ。

実際に行ったら楽しかった可能性もある。

逆に、

「絶対楽しい」

と思って行ったら、

つまらなかった可能性もある。

つまり行動選択には、

現在の価値判断だけでなく、

未来の体験をどれくらい正確に予測できているか

という問題も入ってくる。


予想外の報酬は強い

価値反転で特に重要なのは、

予想していなかった報酬

かもしれない。

例えば、

嫌々参加したイベント。

そこで偶然、ずっと会いたかった人に会った。

あるいは、

面倒だと思って始めた副業。

最初の商品が思ったより早く売れた。

嫌々始めた筋トレ。

数週間後、周囲から、

「痩せた?」

と言われた。

こうした出来事は、

行動前には計算に入っていなかった。

つまり、

実際の報酬が、

事前に予想していた報酬を上回った。

その瞬間、

行動に対する評価が大きく変わる。


「つまらない仕事」が急に面白くなることもある

例えば仕事。

最初は単調な作業。

毎日同じこと。

面白くない。

ところが、

自分が考えた方法で作業時間を半分にできた。

上司に褒められた。

数字も改善した。

すると、

単なる作業だったものが、

攻略対象

のように見えてくることがある。

仕事内容そのものは大きく変わっていない。

でも、

「自分で改善できる」

「成果が数字で見える」

「評価される」

という報酬が加わった。

その結果、

主観的な価値が変わる。


反転するのは「嫌→楽しい」だけではない

もちろん逆もある。

楽しみにしていた旅行。

期待していた。

でも、

大渋滞。

雨。

店は休み。

ホテルも微妙。

同行者ともケンカ。

すると、

「もう帰りたい」

になる。

あるいは、

欲しくて仕方なかったゲーム。

発売日に買う。

最初は夢中。

でも数時間で、

「あれ、思ったより面白くない」

となる。

つまり、

高い価値から低い価値への反転

も普通に起こる。

重要なのは、

人間の評価は固定されず、

実際の結果によって何度も更新される

ということだ。


これは「学習」とも考えられる

ここまでの話を少し抽象化すると、

人間は行動する。

結果が返ってくる。

その結果を使って、

次の予測を修正する。

例えば、

「接待ゴルフ=面倒」

と思っていた。

でも実際には楽しかった。

すると次回、

「前回は意外と楽しかった」

という経験が加わる。

そのため、

次の接待ゴルフに対する事前評価が少し高くなる。

つまり、

一度の経験が、次回の主観価値まで変える。

反対に、

楽しみにしていたイベントで最悪な経験をすれば、

次回の評価は下がる。

人間は行動と結果を繰り返しながら、

「これはやる価値がある」

「これはやめた方がいい」

という内部の評価を更新しているのかもしれない。


「最初の一回」が重要になる理由

この考え方をすると、

なぜ最初の一回が重要になるのかも少し見えてくる。

例えば、

副業。

始める前は、

「面倒」

「売れるか分からない」

「金がかかる」

と感じる。

しかし、

実際にやってみて最初の商品が売れた。

すると、

「副業=面倒で不確実」

だけではなく、

「副業=本当にお金が返ってくることもある」

という新しい情報が加わる。

第5回で考えた、

最初の500円

の意味もここにつながる。

最初の報酬は、

単なる500円ではない。

行動そのものに対する評価を書き換える情報

でもある。


成功するには「良い経験」が必要なのか?

ここで少し危ない考え方も出てくる。

だったら、

「最初に良い成功体験を作ればいい」

となりそうだ。

確かに、ある程度はそうかもしれない。

しかし、それだけでは単純すぎる。

偶然うまくいっただけかもしれない。

一度売れたからといって、

次も売れる保証はない。

最初に簡単に成功したことで、

実力以上に自信を持つ可能性もある。

逆に、

最初は失敗したが、

長期的には正しい行動だった可能性もある。

つまり、

主観価値が上がったことと、その行動が本当に成功につながることは別問題

だ。

ここはかなり重要だと思う。


人間は「気持ちいい行動」を学習してしまう可能性もある

報酬が返ってくると、

その行動の価値は上がる。

これは便利な仕組みに見える。

でも当然、問題もある。

SNSを見る。

楽しい動画が出る。

さらに見る。

通知が来る。

また見る。

ゲームをする。

勝つ。

報酬が入る。

もう一戦する。

この場合も、

行動 → 即時報酬 → 主観価値上昇

が起こる。

つまり、

価値反転や学習の仕組みそのものには、

「成功に役立つ行動を選ぶ機能」

があるわけではない。

単純に、

その人に報酬を与えた行動の価値を上げているだけ

なのかもしれない。

だから、

楽しい。

気持ちいい。

すぐ結果が返ってくる。

というだけで、

その行動が長期的に良いとは限らない。


「楽しくなった」は成功の証拠ではない

これは成功研究でも注意したい。

例えば、

新しい副業を始めた。

反応がたくさん来る。

SNSでも褒められる。

本人も楽しい。

だから、

「この方法は正しい」

と思う。

でも、

実際には利益が出ていないかもしれない。

褒められているだけで売れていない。

フォロワーは増えたけど商品は売れない。

つまり、

心理的な報酬と、最終的に欲しい成果が一致するとは限らない。

主観価値が上がったことで行動は続く。

しかし、

その行動が本当に成功へ向かっているかどうかは、

別の指標で確認する必要がある。


ここで「成功のNo.2」が必要になる?

少し先の話になるが、

この問題は成功を考える上でかなり面白い。

本人は、

「これ楽しい」

「反応がいい」

「絶対いける」

と思っている。

つまり主観価値は高い。

しかし数字を見ると、

利益が出ていない。

市場が伸びていない。

費用ばかり増えている。

こういうとき、

本人の主観だけでは判断を誤る可能性がある。

だから、

感情や成功体験とは別に、

現実の結果を確認する仕組み

が必要になる。

人。

数字。

データ。

AI。

こうした外部の視点が、

主観価値の暴走を修正する役割を持つのかもしれない。

この話は、成功そのものを扱う段階で改めて考えたい。


主観価値は「事前→経験→更新」で動く

ここまでを整理すると、

人間は行動前に、

「これはどれくらいやる価値があるか」

を予想する。

そして行動する。

すると、

実際の報酬やコストが返ってくる。

その結果、

事前の予想と現実の差

が見える。

思ったより楽しかった。

思ったよりつまらなかった。

思ったより稼げた。

思ったより疲れた。

この経験を使って、

次の評価が更新される。

つまり、

予想 → 行動 → 経験 → 再評価

という循環があるように見える。


成功を考えるなら「始めさせる」だけでは足りない

これまで、

欲求。

面倒。

接近と回避。

即時報酬。

状態依存。

と考えてきた。

ここに今回、

行動開始後の価値更新

が加わった。

成功に必要な行動を考えるなら、

単純に、

「どうやって始めさせるか」

だけでは足りない。

始めた後、

どんな経験が返ってくるのか。

その経験によって、

次の行動への評価がどう変わるのか。

ここまで考える必要がある。

なぜなら、

一度始めても、

つまらなければやめる。

逆に、

最初は嫌でも途中で報酬が見つかれば続くことがあるからだ。


次の疑問

ここまで考えると、

人間の行動はかなり流動的に見える。

昨日の評価と今日の評価が違う。

行動前と行動後でも評価が違う。

経験によって、

「嫌い」が「好き」に変わることすらある。

では、

人間の行動を安定させるためによく使われる、

「目標」

はどうなのだろう。

「高い目標を立てれば行動できる」

「目標を紙に書けば成功しやすい」

「成功者は明確な目標を持っている」

こうした話はよく聞く。

でも、

ここまで見てきたように、

人間はその瞬間の報酬やコストによって価値判断を何度も変える。

だとすると、

目標を立てれば、人間は本当に動くのか?

次回は、

目標設定そのものの効果と、「成功者が目標を持っていたから成功した」という因果関係

を少し疑ってみたい。

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