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教師に対する子どもの信頼は、何で決まるのか?

「どうして子どもたちは自分の言うことをまともに聞いてくれないのか?」

「もっと明るく接すれば、子どもたちはついてきてくれるだろうか?」

「優しく接しているつもりなのに、学級が落ち着かないのはなぜなのか?」


そんな悩みを抱えている教師は少なくないはずです。

しかし、現場で多くの子どもたちや教師を見てきて、私は確信しています。

子どもが教師を信頼するかどうかは、性格が明るいとか優しいといった「人柄」で決まるのではない。

じゃあ、何で決まるのか?

それは「言葉がぶれない」かどうかです。



「昨日と言っていることがちがう」という絶望


子どもたちが最もきらう教師のタイプ。

それは「前に言ったことと、今言ったことがちがう」教師なのです。


以前、学習発表会の劇の練習で、こんなことがありました。

ある日、担当の教師が子どもたちにこう告げました。

「明日は3の場面のセリフの読み合わせをするから、できるだけ覚えてきてね」

まじめな子どもたち、特にセリフの多い主役級の子たちは、そのつもりで家で夜遅くまで一生懸命練習してきました。

ところが翌日、その教師はこう言ったのです。

「なんか……1の場面ができてないんだよね。だから今日はそこをやるよ」

なんの説明もなく、いきなり1の場面の練習が始まりました。

誰もそのための準備をしていません。だから全然うまくいかない。

そうすると、その教師は、

「そんなんじゃだめだ。もっとまじめにやらないと!」

と全員に向かって注意したのです。


結局、その日は最後まで3の場面をやることはありませんでした。

教師側からすれば「自分なりの臨機応変な対応」のつもりだったのでしょう。

たぶん本人は、まずいことを言ったとは少しも思っていなかったはずです。

しかし、この瞬間から子どもたちは、その教師の言葉を疑い始めます。

この一件で信頼の糸が切れ、本番が近づく頃には子どもたちは全然言うことを聞かなくなっていました。

最終的にその教師は、直前で担当を降りることになってしまいました。

周囲の教師にも大きな負担を強いるという、最悪の結末です。



「小さなミス」は数百回積み重なっている



学校で子どもたちにひどくきらわれている教師は、こうした「前に言ったことと違う」というミスをしています。

無意識のうちに数十回、いや、きっと数百回繰り返しているのです。

子どもたちは本来、寛大です。1回や2回のミスなら許してくれます。

しかし、教師がそれに甘え、子どもを軽く扱い続けると、事態は取り返しのつかない方向へ向かいます。

私はこれまで、子どもたちの強い反抗に遭い、教師を辞めざるを得なかった人を10人近く見てきました。

その原因のほとんどは、教師としての能力不足ではありません。

優しさがないわけでもないし、暴力や暴言で問題になったわけでもない。

しかし、「自分の発する言葉の重み」に対する自覚の欠如がありました。

「相手は子どもだから大丈夫」と軽く考え、

前とちがうことや、まちがったことを言っても、説明も謝りもせずにごまかす。

その慢心が、命取りになったのです。



「ぶれない教師」になるための3つの鉄則



では、子どもたちから信頼を得る「ぶれない教師」になるためにはどうすればいいのでしょうか。


1. 一度出した指示は、最後まで変更しない


基本はこれに尽きます。子どもに何度聞かれても、前と一字一句同じ指示を出す

「一字一句って、そこまでですか?!」

そうです。そのつもりでいることが大事なのです。

「ぶれている教師」は、同じことを言ったつもりでも、話すたびに指示が変わっています。




教 師「チャイムがなったら、ごちそうさまをして、食器を片付け始めます」

児童A「先生、先に食べ終わったらごちそうさましていいんですよね」

教 師「そうか。じゃあみんなが食べ終わったらごちそうさまをするよ」

児童B「チャイムがなっても終わらなかったら、あとでごちそうさまでもいいですか」

教 師「ああ、そういう人はそうしようか」

児童C「もうごちそうさましたから、チャイムなってなくても食器片付けていいですか」

教 師「まあ……いいか。片付けていいよ」




こんな感じです。こういうことのくり返しで、教師の指示は通らなくなっていきます。

この場合、先に食べ終わる子がいても、最初に指示したとおり、チャイムまで待たせればいいだけです。

そこまで考えて指示してないから、子どもの多様な反応によってぶれてしまうのです。

私だったら、上のようにいろいろ子どもに聞かれても、

「チャイムがなったら、ごちそうさまをして、食器を片付け始めます」

と笑顔で優しく、何度もくり返すだけです。

よほどのことがない限り、指示を変えることはない。

この一貫性が、子どもたちに「この先生についていけば大丈夫だ」という安心感を与えるのです。



2.どうしても変更せざるを得ないときは「説明」と「謝罪」をする


ただし、教育現場は生き物ですから、どうしても指示を変えなければならない場面が出てきます。

そのときは、絶対に「知らんぷり」や「ごまかし」をしない。

例えば、

「この時間は学級レクをやる予定でしたが、変更します。明日の天候の関係で、明日の予定だった全校練習を今日やることになったからです。みんなが楽しみにしていたのに、本当にごめんね。今、来週の体育館の使用状況を確認しています。今週中にいつやれるかを連絡するからね」

このように、教師のミスでもないのにきちんと子どもに謝ることができ、なおかつその後の対応まで丁寧に説明してくれる教師のことを、子どもは信頼するのです。


3.言葉を発する前に「一瞬」考えるくせをつける


指示を出す前に、心の中でこう自問自答してみてください。

「今言おうとしていることは、教師として適切か? 最後まで責任を持てるか?」

この「一瞬のブレーキ」を持つだけで、言葉の重みは劇的に変わります。



自信がなくても「ぶれない」ことはできる



授業がうまくいかない、学級経営に自信がない。

若い教師のあなたは、そんな不安を抱えているかもしれません。

しかし、「ぶれない」ことは、教師としての経験を積まなければできないことではありません。

特別な才能やキャリアがなくても、今日この瞬間から意識一つで始められます。

自分の言葉に責任を持つ。まちがえたら素直に謝る。

変更せずにすむように、よく考えてから指示を出す。

当たり前だけど、大事なこと。

これを積み重ねられる教師が、現場で長く、生き残っていけます。

なぜなら、子どもからの信頼を得られれば、自分の仕事が驚くほど楽しく、やりやすくなるからです。

仕事が楽しいから、さらに子どもに優しくなれる。

若い教師のあなたの一言が、子どもたちの確かな道しるべになることを切に願っています。





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