モームリ神社|毎週ショートショートnote
正月三が日の終わり、三年連続で受験に失敗していた従兄の健太が、松葉杖をついて帰省してきた。
「ちょっと、何その足」
「骨折祈願してきた」
元旦の朝、近所の怪しげな“モームリ神社”へ初詣に行き、「先に痛い目を見れば、運気が上がる」という噂を真に受けて、わざとスノボーで転倒。見事に足を折ったらしい。
絵馬にはちゃんと、「今年こそ受かりますように(骨折済)」と書いてきたそうだ。
呆れるしかなかったけれど、そのときの健太は、なぜか憑き物が落ちたみたいにすっきりした顔をしていた。
そして春、健太は本当に合格した。
それだけじゃない。合格発表の日、通院先の病院で知り合った看護師さんとトントン拍子に結婚までしてしまったのだ。
「“モームリ”って、“もう無理”の略じゃなくて、“もう一回、無理してみようか”って意味なのかもな」
いま、彼の部屋の神棚には、あの松葉杖が立てかけられている。隣には、夫婦で書いた新しい絵馬がひとつ。
「元気な子が生まれますように。今度は転ばなくて済みますように」
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