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For Tracy Hyde/Film Blueへの愛と憎しみ

2024年8月12日が何の日かわかるだろうか。
わかる人は多分警察に捕まり始めているタイプのオタクだと思うのでわかってほしくないのだが、この日は東京ビッグサイトでコミックマーケット104が開催された日だ(正確には11日と12日)。行った人でも覚えてはいないと思う。俺も流石に日にちは覚えてないのでググった。ではなんでこの日にスポットを当てるのか。話すと長くなるし自分でもドン引きするほど情けない話になる。
俺は親が二次元カルチャーに全く理解を示す人間じゃないので、「コミケに行きたい!」と言った日には多分自分のあらゆるものを否定してくる。なので行くことはほぼ諦めているのだが、このC104には「どうしても欲しい!」と思っているものがあったので、TwitterのFFさんに、買えたら代わりに買って欲しいという旨を連絡した。「そこまでするか」と思うかもしれないが、病的なレベルで好きなキャラクターのグッズが入った新刊セットはどんな手を使ってでもほしいのだ。そして当日、家族と千葉旅行に行っていたので、移動しながら連絡を取り、なんとか入手を試みた。しかし、1人3部まで購入可能だった新刊セットが1人1部に制限されてしまい、代理購入の道は断たれてしまった。その後、他のFFにも声をかけたが、みんな1部制限に阻まれていた。メルカリを開くと、定価の数倍で転売されている。途方に暮れた。
しょうもないことだが、心に穴が空いたような感覚になってしまい、悲しみに襲われた。そんな中でどうにか気を紛らわそうと、たまたま持って来ていたFor Tracy Hydeの「Film Bleu」のCDを聴いた。

悲しみが和らいだわけではない。むしろ頭を突き刺すような感覚だ。でも素晴らしかった。確かにこの時、フォトハイは気持ちを代弁してくれたと思っている。

そんな訳で、俺はこのアルバムが大好きだ。人生で聴いたアルバムの中でベスト10には確実に入る。
もちろん、この思い出だけが理由ではない。アルバム自体がとても良いのだ。
1曲目の「There's A Story In Your Eyes,And I Will Read Between The Lines」から最高。今までで聴いたインスト曲の中で一番だと思っている。アルバムのコンセプトに沿っているが、楽曲単体としてのポテンシャルも高い。
「Her Sarah Records Collection」と「SnoWish;Lemonade」ではティーンエイジャーの甘酸っぱい恋愛を描かれていて、「Outcider」では、夏を始点と終点にした出会いと別れのストーリーが広がっている。
そして「Crystal」「First Regrets」「Favourite Blue」の3曲が自分の胸を容赦なく突き刺していく。(途中インスト曲も挟む)

少しだけ肌寒い24時ちょっと過ぎ、ときどき思い返してみたりするの。
この手には入らないものだらけの世界で、君を見つけてしまった、
透き通る夜のこと。

スピーカーを震わすビート。
その隙間からほんとは囁いてみたい言葉があったんだ。

「冷めた色の摩天楼街の片隅で、それでもどうにか心を満たしてよ」
そんなふうに言い出せないな……。
だって、僕が君を見るように君は僕を見ているの?

Crystal 歌詞

いつか最後のひとひらが舞う朝に僕に出会う君は、
変わらず笑って――僕らがゼロになっても。
はじめての後悔を君に捧げよう。

「First Regrets」歌詞

所詮相手は二次元だけど、こんなに心を掻き乱されることにもどかしさを感じるし、出会ってしまったことに後悔している。そんな気持ちに恐ろしいほどマッチしていく。

どうかそこで待ってて――はやる気持ちが追いつくまで。
ふつふつと弾けだすソーダの泡、かきあげる髪の塩素の匂い。
ねえ、夏のはじめは水のいたずら。

冷たいから……!

「Favourite Blue」歌詞

でも、フォトハイを聴いてるとあの子の透明な姿に憧れてしまうのだ。こんなちっぽけな自分も、なんだか禁断の恋に手を出してしまった気分にさせてくれる。

その後もサイケデリックな「Shady Lane Sharbet」、冬の情景が浮かぶ「Emma」等で、小さいけどどこか壮大な「青春」が描かれていく。
ラストの「渚にて」のアウトロで「There's
A Story~」のイントロがサンプリングされているの天才的だと思う。何回もリピートしてしまうよ!

そんな訳で、絶対にフォトハイ本人が想定していた聴き方ではないと思うが、「Film Bleu」歪んでいる自分の気持ちに寄り添ってくれるようなアルバムだ。というかそんなの関係なくマジの名盤なのでみんなにも聴いてほしいなと思っている。

ストリートビューからスクショ

余談だが、このアルバムのジャケットは横須賀にあるかもめ団地という場所で撮影されているようだ(多分)。機会があったら今年の夏に行きたいなと思っている。今年は、新刊セットが手に入ることを願いながら。

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