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「サンフェーデッド」という事件について

※筆者は、学園アイドルマスターをインストールしてから3日で「スマホの容量食いすぎだろスバルのクルマみたいな燃費の悪さだな」「なんでゲームの中でも仕事せなあかんねん日本かよ」と思いながらアンインストールした人間です。今回の記事においても、主観的な部分がそこそこあると思いますが、ご了承いただけますと幸いです。ちなみに学マスのキャラは紫雲清夏が1番好きです。プロデュースする気はありません。

「サンフェーデッド」のCDを買った。6曲入り2,500円。高いけどまぁファングッズの側面がデカいだろうしやむなし。曲が聴きたいという理由のみで買ってるこっちが悪い。

知らない人のために説明しておくと、「サンフェーデッド」は2025年7月にリリースされた大人気アイドルプロデュースゲーム「学園アイドルマスター」(以下学マス)の登場人物である篠澤広の楽曲。作曲は国内外で活躍しているあの長谷川白紙。従来のアイドルマスターの楽曲とは一線を画したギターロックサウンドが話題になり、学マスのプレイヤー(プロデューサー)以外のリスナーからも大きな支持を集めている。その影響力が絶大すぎて「サンフェーデッド専門ch」というとんでもなくニッチなYouTubeチャンネルも作られている。

もちろん俺も「サンフェーデッド」にやられた1人である。学マスのゲーム自体は楽しめなかったが、「サンフェーデッド」はCDを買った今も枕元で2回再生してから寝ている。
元々俺は所謂“楽曲派アイドル”(従来のアイドル像とはかけ離れたコアな音楽性を持つアイドル)に興味があって、特にRAYやおやすみホログラム,ヤなことそっとミュートなどといったオルタナやシューゲイザーに影響を受けたアイドルが好きなので、アイドルマスターの膨大な楽曲群のなかにも前述のグループのような要素を取り込んだ曲があるのではないかと思っていたが、自分が知る限りそんな曲はなく、「まぁ楽曲云々よりアイドルをプロデュースすることがこのゲームの醍醐味だしな…」と少し肩を落としていた。それ故に「サンフェーデッド」の衝撃は大きかった。
前々からオルタナティブロックのリスナーで、アイドルマスターのプレイヤー(プロデューサー)でもある人って結構いるよなと思ってたので、意外と必然だったりするのではと感じたりもしたが。そんなことはないか。

音割れしそうなドラムの音から始まり、ディストーションギターの乾いた音色と潰れたような音で暴れ回るパーカッション、そこに広の風のように透き通った歌声が入ってくる。曲構成もやや不規則。歌詞も恋愛要素なしでそこそこ難解。これがアイドルの曲なのか。これに合う振り付けが思いつかないし、この曲がアリーナの会場を震わせるイメージもしにくい。さいたまスーパーアリーナじゃなくてHEAVEN'S ROCKさいたま新都心から聞こえてきそうな音だと思う。

実際に踊ってる動画があったけど、やっぱしっくりこないな。
ただ、インストのバージョンを聴いてみるとメロディーは結構キャッチーだなと気付かされる。ギターが歪んでなければ疾走感ある良いポップスにもなり得そう。あとインストだと「ほらね」の部分が完全な沈黙になるので、その静と動の温度差にクラクラしそうになる。

このPVもすごい。撮影は広の出身地である秋田で行われたらしい。映っているのも秋田の街中だろう。なのになぜこんなに現実味のない映像になってしまうのだろうか。広のミステリアスな雰囲気故か、はたまた全体的に彩度が低いからか、「広が三次元になった」のではなく、「秋田が二次元になった」というイメージを個人的には感じる。

ポスターになるブックレット。良い

広のことをある程度知る人であれば周知の事柄だと思うが、彼女は14歳で海外の大学を卒業するほどの天才少女で、上手くいかないことから得られる喜びを感じるべく、自分にとって最も不向きだと思うアイドルを志すことにした人物だ。彼女の最も不向きな職業が本当にアイドルなのかはさて置き、聴覚的な情報だけでも広がアイドルに向いている人物ではないというのは確かに分かるなと思う。
というのも、「サンフェーデッド」のCDに収録されたB面曲の「標」と「ENDLESS DANCE」のいずれもが、透明感はあるけどパワフルさに欠ける広の声とはミスマッチだなと感じたのだ。そもそもこの2曲は広のソロ曲ではない(所謂“全体曲”)し、「標」の時の「総喝采」の歌い方がめちゃくちゃ可愛かったし、「ENDLESS DANCE」の“作詞、作曲:首藤義勝”というクレジットを見て「KEYTALKやないかい」と思いながら聴いたら概ねその通りだし、やっぱ首藤義勝はポップス作るのが上手すぎて圧倒されたりで、駄曲ではないのだけれど、全体的にあんまり広の声だとしっくりこない。リーガルリリーが10-FEETをカヴァーしているかのような違和感があるなと思う。決して「悪い」とは思わないし、この2曲や広とバンダイナムコを非難するつもりはない。

作詞、作曲:首藤義勝


しかし、彼女のソロ曲である「サンフェーデッド」は本当に際立って素晴らしいなっていうのをCDで聴いて改めて思った。やっぱ長谷川白紙って慧眼の人だなっていうのが感じられる。自分の得意分野であるジャズやブラジル音楽にとどまらず、ゴリゴリのギターロックを提供しているあたり、「篠澤広専用の曲」として本気で作ってるだろうし、多分長谷川白紙本人がめちゃくちゃ広のことが好きで、彼女のことを可能な範囲で知り尽くした上で提示したのがこの「サンフェーデッド」なのだろうと思う。作曲家の鑑だよな。

ということで、本当にこの曲の事件性は高いし、この曲がシーンに与えた影響が、今年は少なからず出てくるんじゃないかなと思う。アイドルマスター史でも屈指の「突然変異」として後世に語り継がれることは必至だ。多分。


あと今回この記事を書いてる時に「サンフェーデッド」を何回もリピートしてたら、だんだん曲にウェット感が出てきた気がして「この曲って聴き続けるとシューゲイザーになるのか?」と一瞬思ったが、多分俺の気が狂ってるだけだ。同じく気が狂ってるシューゲイザー好きの皆様はお試しください。
それでは。

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