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『麺類学入門』【第7講】【ラオス】日本のうどんを超える親しみやすさ?国民的麺料理『カオピアックセン』をヴィエンチャンの隠れた名店で極める

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「日本のうどんに最もよく似た東南アジアの麺」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。ベトナムのフォー? タイのクイッティアオ?
いいえ、麺類学的な正解は、ラオスの国民食『カオ・ピアック・セン』です。

■ 24年の時を超える「カオピアック再会ルート」

まずは、こちらのタイムラインをご覧ください。

私が初めてカオピアックに出会ったのは、今から24年前の2002年のこと。ヴィエンチャンの安宿街でバックパッカー仲間と囲んだ素朴な丼は、「あ、日本のうどんにそっくりだ!」という温かい記憶を私に植え付けました。

それから長い歳月が流れ、旅の足跡は2025年末のタイ・ウドンターニー、そして世界遺産の街ルアンパバーンへと繋がります。各地でカオピアックを啜り、その奥深さに再び火がついた私は、2026年年始、新時代を開いたラオス鉄道の近代的な車内に揺られていました。目指すは、人生3度目のヴィエンチャンです。

ラオスといえば、やっぱりこのサクサクのフランスパン!目玉焼きにアンカーバターを添えて、移動前の定番の一皿を。
朝の身体に染み渡る、南国ならではの鮮やかなフルーツ。濃厚なマンゴー、みずみずしいメロン、そしてドラゴンフルーツ。
アイスティーの爽やかな渋みが、旅立ちの朝をシャキッと引き締めてくれます。
ホテルの1階レセプション前にある居心地のいい朝食スペース。
アットホームな雰囲気の中で荷物をまとめ、いざラオス鉄道の駅へと向かいます!
鉄道駅へ向かう道すがら、ルアンパバーンの日常の風景を1枚。
静かな古都の余韻に浸りながら、いよいよ最新のラオス鉄道へと乗り込みます!
ルアンパバーン駅から昆明南へ向かう国際列車。
ホームへと続く列に並ぶのは、ラオスを訪れていた大勢の中国人観光客。
私たちが乗り込んだヴィエンチャン行きの車内。
「LCR」のロゴが並ぶ座席は驚くほど新しく近代的で、24年前の旅からは想像もつかない快適なスピード旅が始まります。


終着駅から乗り合いバス(ロットドゥー)に乗り込み、活気あふれる中央バスターミナル(タラートサオ)へ到着。熱気の中でスマホを取り出し、Googleマップで「ここから徒歩圏内にある美味いローカル店」を検索して見つけたのが、今回ご紹介する「Triple Boy Noodle House」です。

ヴィエンチャン駅に到着後、さっそく市街地行きのローカルバス(ロットドゥー)へ。
フロントガラス越しに見えるラオスの強い日差しと、これから始まる街歩きへの期待感が高まります。
大きなバックパックを背負った旅人や地元の人々で、車内はすぐに満席に!
先ほどまでの最新鋭の静かな列車とは打って変わって、東南アジアらしい雑多で賑やかな熱気に包まれます。
バスががせわしなく行き交う、ヴィエンチャンの交通の要所に降り立ちました。
ラオスの心地よい熱気を肌で感じながら、お目当ての絶品カオピアックを目指して、いざ徒歩でのランチ散策へスタートします!
タラートサオ・バスターミナルから「Triple Boy Noodle House」までは、徒歩で約15分(1.1km)。
ほどよい距離感を歩きながら、ヴィエンチャンのローカルな街並みをのんびり楽しむことにします。


ヴィエンチャン特有の力強い日差しを浴び、心地よい汗をかきながら歩くこと約15分。

賑やかな通りを抜けた先で、ついに目指す「Triple Boy Noodle House」の看板が見えてきました!


角地に佇む味のある建物の1階にお店を発見。
PEPSIの青いロゴが入った「Triple Boy Noodle House」の大きな黒い看板が遠くからでも目を引きます。
店頭へ近づくと、コカ・コーラの赤いパラソルの下に写真付きのメニュー看板が並んでいました。
ローカル食堂らしい開放的な雰囲気と漂う香りに、お腹の虫が鳴り止みません。
店頭の調理台に並ぶ、色とりどりのQRコード決済用スタンドに驚愕!
昔ながらのローカルな佇まいでありながら、スマホ決済がここまで当たり前に浸透しているところに、
ラオスの「今」の急速な変化を実感します。

■ 徹底解剖!カオピアック・センの「うどん類似度」 

バスターミナルから少し離れたその店は、ローカル感漂う店構えながら、中に入ると驚くほど清潔でお洒落な空間が広がっています。

外のローカルな熱気から一歩入ると、そこはスタイリッシュな空間。
すっきりと整理された木目調のテーブル席が並び、女性一人や旅人でもふらっと入りやすい落ち着いた雰囲気が漂っています。


グレーの壁に映える、パネル仕立ての美しいメニューたち。
フリーWi-Fiも完備されており、近代的な快適さとローカルグルメが絶妙に融合しています。


さっそく、お目当てのチキンカオピアックを注文。運ばれてきた丼の構造を、麺類学的に解剖した図がこちらです。

そしてこちらが、運ばれてきた実物のチキンカオピアックです!
とろみのある濃厚な鶏ベースのスープに、もちもちの麺が絶妙に絡みます。
じっくり煮込まれた鶏肉の旨味と、ぷるんとしたルア(血のゼリー)の食感がたまりません。
カオピアックに欠かせない、シャキシャキの生もやしとフレッシュなライム。
卓上に並ぶタイ・ラオスならではの調味料(お酢や唐辛子など)を少しずつ足しながら、
自分好みの味に育てていくのがローカル流の最高の楽しみ方です。


まず驚かされるのが【スープ】です。
ベトナムのフォーやタイのクイッティアオは、基本的に「卓上の調味料を自分で大量に足して好みの味を完成させる」前提の薄味スープが多いのですが、カオピアックは違います。鶏ベースのコク深い旨味が最初からギュッと凝縮されており、そのまま啜って完璧に美味い。

そして主役の【麺】。
米粉にタピオカ粉をブレンドしたこの麺は、丸みを帯びていて驚くほどもちもちしています。目をつぶって啜れば、日本のうどんや沖縄のソーキそばと錯覚するほどの親しみやすさです。

さらにローカル感を醸し出す黒いキューブ、豚の血のゼリー(ルア)とジューシーな鶏肉の【トッピング】を味わったら、いよいよカオピアックのハイライトである【味変の仕掛け】へ。

別皿にどっさりと盛られた、完全な生もやしを熱々のスープに沈め、新鮮なライムをギュッと搾る。
この瞬間、うどんのようだったスープが一気に爽快な表情へと変化します。例えるなら、「焼きそばの後半にお酢をかける感覚」。シャキシャキの食感と心地よい酸味が、最後のスープ一滴まで飽きさせずに胃袋へ運んでくれます。


■ Triple Boyで完成する「最強の布陣」

しかし、この店の凄みはカオピアック単体にとどまりませんでした。サイドメニューを合わせることで、まるで日本の食堂文化に通じる「最強の布陣」が完成するのです。

カオピアックの相棒として迎えたのは、カリカリの豚肉(ムークロープ)をハーブと炒めたガパオ風のご飯。
トロッとした半熟の目玉焼きを崩し、濃厚なタレが絡んだお肉と白米をかき込めば、これ単体でも主役を張れる高クオリティです。


もう一品は、みっちりと具材が詰まった大ぶりの生春巻き(ヨン)。
ピーナッツがこれでもかと入った香ばしく甘酸っぱい特製タレにディップして口に運ぶと、
モチモチの皮とシャキシャキの野菜が絶妙なコントラストを描きます。



テーブルの上に並んだのは、カオピアック、ガパオライス、そして「ヨン」と呼ばれる生春巻き。

温かい麺(主食・汁)に、ピリ辛のガパオ炒めご飯(主食・米・辛)を合わせる。これはまさに、日本のラーメン調味料文化や【ラーメン×チャーハン】【うどん×丼もの】
のセットに通じる、炭水化物界の黄金コンボです。ガパオの辛さは控えめで、鶏出汁のスープにこれ以上ないほど寄り添ってくれます。

そこへ完璧なバイプレイヤーとして機能するのが、手前に鎮座する生春巻き(ヨン)。
一口噛んだ瞬間にミントやタイバジル、ノコギリコリアンダーといったフレッシュハーブの清涼感が口内で爆発します。主食たちの重厚な旨味の合間にこれを挟むことで、口内が鮮やかにリセットされ、箸が無限に止らなくなる【最高の副菜】なのです。

もう一品は、みっちりと具材が詰まった大ぶりの生春巻き(ヨーパー)。
ピーナッツがこれでもかと入った香ばしく甘酸っぱい特製タレにディップして口に運ぶと、モチモチの皮とシャキシャキの野菜が絶妙なコントラストを描きます。

壁のメニューをよく見ると、どの麺類の横にも小さな揚げパン(油条/パートンコー)がセットで描かれているのが分かります。
このモチモチの揚げパンをカオピアックの濃厚なスープに浸し、旨味をたっぷりと吸わせて食べるのがラオスの定番スタイル。

さらに、メニューに並ぶガパオ炒めや、卓上の唐辛子を中心とした調味料の使い方は、間違いなく西隣のタイ文化の影響です。そして今回は注文しませんでしたが、メニューの片隅にフランス風の卵焼き(オムレツ)やフランスパン(カオジー)が平然と並んでいるのは、かつての仏領インドシナという宗主国の名残に他なりません。

壁に並ぶぶっかけ飯のメニュー。ガパオ炒めをはじめ、唐辛子を効かせた肉炒めなど、タイの食堂でお馴染みの顔ぶれが並びます。
メコン川を挟んで隣り合うタイの食文化が、日常に深く溶け込んでいることが一目で分かります。


卓上にはお馴染みの「クルワンプルーン(調味料セット)」。
粉唐辛子や砂糖、酢を自分好みでブレンドして味を完成させるスタイルも、まさにタイ文化の系譜そのもの。
ローカル麺活には欠かせない相棒たちです。
こちらはラオスの食堂でよく見かける、エシャロット(ホムデン)と唐辛子の酢漬け。
これを少しスープに落としたり、箸休めに齧ったりすると、心地よい酸味と辛味が加わって味が一気に引き締まります。
最上段には、ベトナムとフランスの文化が融合しラオスで独自に進化した鉄鍋目玉焼き「カイガタ」。
さらに西洋のスパゲッティ、タイや中国由来のインスタント麺炒め、中国南部から繋がる米粉麺までが1枚の看板に並びます。
まさに【中国・ベトナム・タイ・フランス】という4つの食文化が交差する、ラオスの歴史を映し出した象徴的なメニューです。


北の中国、東のベトナム、西のタイ、そしてかつてのフランス。
ラオスという国は、これら全方位からの強烈な食文化の影響を受けながらも、決してそれらに侵食されることがありませんでした。むしろすべてを穏やかに受け入れ、最終的には日本人がどこかホッとするような「優しく丸みのある出汁ともちもち麺」に着地させてしまう。これこそが、ラオス食文化が持つ唯一無二の「包容力」なのだと確信しました。 

バスターミナル近くの何気ない食堂で出会った最強の3品コンボ。それはまさに、ラオスの歴史と地理が織りなす、美しきブレンドの味だったのです。

■ 人生最高峰との邂逅。麺類学入門最終講、次回の舞台はフォーの聖地へ


今回、カオピアックという至高の一杯を通じ、ラオスの食が持つ「全方位を穏やかに受け入れる包容力」を再確認しました。世界を見渡せば、今やラーメンは数万店規模で世界中に専門店を展開し、絶対的な王者として君臨しています。その歴史と普及度は凄まじいものがあります。

一方で、フォーはここ30年余りで、移民の方々の尽力と、「ヘルシー・グルテンフリー」という現代の健康志向という二つの追い風を受け、世界中で不動の地位を築き上げました。

さて、麺類学入門・最終講でお届けするのは、そんな世界の麺料理の中でもトップクラスの知名度を誇る「ベトナムのフォー」です。

実は、2024年に人生二度目のベトナムを訪れた際、私は「これ以上の米麺には二度と出会えないかもしれない」と確信する、衝撃的な名店に出会いました。スープの一滴まで計算し尽くされた、まさに人生最高峰の一杯。この米麺の巨大な源流を遡る最終講、ぜひお見逃しなく!

🎓 麺類学の聖地を巡る(フィールドワーク用座標)

現在、note創作大賞2026に挑戦中です!7月31日まで読者応援期間となっております。もし『面白い』『旅に出たくなった』と感じていただけたら、ページ下部の『スキ(❤️)』やコメントで応援していただけると、中間発表・最終審査への大きな後押しになります!

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