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GoogleのAI事業が没落か?天才たちの流出が僕らにも関係する理由

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どうも、ソルト(@saltygelicita)です。

GoogleのAI部門で、大きな地殻変動が起きています。

これまでGoogleのAIを作ってきた二つの中心勢力が、ほぼ同時に大きく形を変えたのです。

それは単に偉い人が交代したという話ではありません。

まず、Google DeepMindを率いてきたデミス・ハサビス氏。

ハサビス氏はGoogle DeepMindのCEOとして、GeminiやAlphaFoldをはじめとするGoogleのAI研究を象徴してきた人物です。

そのハサビス氏が、日々の事業運営から離れ、Google DeepMind会長兼Alphabetのチーフサイエンティストに就任しました。

Googleの公式発表では、AGIや科学研究など、より長期的なテーマに集中するための役割変更だと説明されています。

一方、実際の指揮権を握るのは、これまでGoogle DeepMindのCTOを務めてきたコライ・カヴクチュオグル氏です。

コライ氏はGoogle DeepMindのSVPとなり、サンダー・ピチャイCEOに直接報告します。

Geminiのモデル開発、最先端AI研究、Geminiアプリ、開発者向けサービスまで、Google AIの実務をまとめて統括することになります。

ハサビス氏が会社を去ったわけではありません。

しかし、組織を直接動かす「王」の立場から、大きな方向性を示す「法王」のような立場に移ったようにも見えますので公式には昇進です。

ただ、執行権がハサビス氏からコライ氏へ移ったことも事実です。

しかも、これはGoogleがOpenAIやAnthropicとの激しい競争にさらされ、研究成果をいかに早く製品へ落とし込むかが問われているタイミングで起きました。

Googleは、研究者が率いる組織から、ピチャイCEO直下で製品開発を加速させる組織へ切り替えようとしているように見えます。

本当に衝撃的なのはハサビス氏の役割変更だけではありません。

・ジェフ・ディーン氏

・サンジェイ・ゲマワット氏。

・クオック・レー氏。

・オリオル・ビニャルス氏。

この4人がGoogleを離れ、新会社「Discovery Loop」を創業しました。

ジェフ・ディーン氏とサンジェイ・ゲマワット氏は、Googleの検索やクラウドを支えてきた巨大なコンピューター基盤を作った伝説的な技術者です。

クオック・レー氏はGoogle Brainの共同創業者で、AIが自らAIの設計を改善するAutoMLなどの研究を進めてきました。

オリオル・ビニャルス氏はGoogle DeepMindの研究部門幹部で、Geminiの技術開発を率いてきた人物です。

つまり今回、Googleから外へ出たのは、

・巨大AIを動かす計算基盤を作る

・AIの学習方法を作る

・最新のAIモデルを作る

という、AI開発の重要な三層を代表するメンバーです。

単に優秀な社員が4人辞めたという規模ではありません。

Googleの中に存在していた「もう一つのAI企業」が、そのまま外へ飛び出したようなものです。

しかも、今回の動きには歴史的な背景があります。

Googleには以前、デミス・ハサビス氏が率いるDeepMindと、ジェフ・ディーン氏の流れをくむGoogle Brainという、二つの強力なAI研究組織がありました。

Googleは2023年、この二つを統合してGoogle DeepMindを作りました。

ハサビス氏がCEOとなり、ジェフ・ディーン氏がGoogle全体のチーフサイエンティストとしてAI研究の方向性を担う体制です。

それから約3年。

ハサビス氏は日々の執行から離れ、ジェフ・ディーン氏はGoogleそのものを離れました。

Google AIを作ってきた「DeepMindの王朝」と「Google Brainの王朝」が、同じタイミングで一つの区切りを迎えたとも言えます。

そしてDiscovery Loopが目指しているのは、単なるチャットAIではありません。

AIが

仮説を立てる▶︎実験を設計する▶︎実験を実行▶︎結果を分析▶︎次の仮説を考える。

この「発見のループ」全体を自動化し、数千もの実験を同時並行で進める構想です。

医薬品、半導体、素材、エネルギーなどの研究を、少人数のチームとAIで一気に加速させようとしています。

ここで重要なのは、4人が別の巨大IT企業へ転職したのではなく、自分たちで会社を作ったことです。

少し前までは、最先端AIを作るにはGoogleやMicrosoftのような会社に所属し、巨大な計算設備と何千億円もの資金を使う必要がありました。

しかし今は、名前と実績のある研究者なら、会社を設立した段階からVCの資金とクラウドの計算資源を集められます。

しかもGoogle自身が、Discovery Loopの創業時の出資者となり、クラウドパートナーとして協力します。

Googleは人材を完全に奪われたというより、社員として抱える関係から、
出資先としてつながる関係へ移した、とも見ることができます。

とはいえ、人材流出が続いているのは事実です。

AlphaFoldの開発を率い、ハサビス氏とともにノーベル化学賞を受賞したジョン・ジャンパー氏も、2026年6月にGoogle DeepMindを離れ、Anthropicへ加わると発表しました。

Googleの外では、AlphaGoやAlphaZeroの中心人物だったデイビッド・シルバー氏がIneffable Intelligenceを設立。

MetaのAI研究を率いてきたヤン・ルカン氏も独立してAMI Labsを立ち上げています。

AI人材獲得競争は、

GoogleからOpenAIへ。

OpenAIからMetaへ。

DeepMindからAnthropicへ。

という「企業間の引き抜き」から、トップ研究者が自分で会社を作る競争へ変わり始めています。

ただし、これでGoogleのAI事業が終わるわけではありません。

Googleには検索、YouTube、Android、Chrome、Google Workspace、Google Cloud、独自のAI半導体であるTPUがあります。

Geminiアプリの月間利用者は9億5000万人を超えています。

AIを作る技術だけでなく、完成したAIを世界中の利用者に届ける圧倒的な配布網を持っています。

だから、本当の論点は、

「GoogleがAI事業から脱落するか」

ではありません。

Googleがこれからも、世界最高のAIを最初に発明する会社でいられるのか。

それとも、他社や社外の研究者が発明したAIを、世界で最も広く普及させる会社になるのか。

ということです。

そして、この話は僕らにも関係があります。

今回、世界最高クラスの研究者たちは、Googleほどの資金、設備、知名度がある会社の中に残るより、外に出た方が速く動けると判断しました。

これは天才研究者だけの話ではありません。

会社の機能を、個人や少人数のチームでも持てるようになっています。

これまで「会社の中にいなければできなかったこと」が、会社の外でもできるようになっているのです。

僕らにとって重要なのは、会社の看板を外したとき、自分には何が残るのかを考えることです。

経営者側も、優秀な人を社員として囲い込むだけでは足りなくなります。

人材を所有するのではなく、社内外に仲間を増やす発想が必要になります。

GoogleのAI事業が没落するかどうかは、まだ分かりません。

ただし、Googleで起きた今回の出来事が示していることは明確です。

巨大企業だけが、巨大な事業を作れる時代が終わり始めているっていうことです。

世界最高の人材を、会社の中だけに閉じ込めておくことも難しくなっている。

Googleが失いつつあるのは、AI事業そのものではありません。

「最も優秀な人は、Googleの中にいるのが一番有利だ」

という、かつての常識です。

そして、その常識が崩れた先にあるのは、僕ら個人や中小企業にも、これまでより大きな事業を作れる可能性が開かれる世界なのです。



 
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