米国がどこに向かっているのか考えるための読書記録
久しぶりの読書記録です。ワケワカメな展開になっているように見える米国ですが考えてみてください。人間の歴史は常にワケワカメなのです。残念ながら米国は今でもその先頭を行っている国です。なぜか。
自由という名の放置ゲーの国だから。
アメリカは建前では自由の国ですが、本当は自由意志(Free will)なんて無いんじゃね?という暗黙の了解がある気がするんです。もう少し詳しく書きましょう。
建国の父たちは啓蒙思想、つまり専制や迷信から脱却し、理性と科学に沿って政治や法律を整え、自由と人権を守っていこうという思想に基づいて米国を作りました。基本はキリスト教がベースで自由意志はあるものという設定です。

ですが当時は白人男性中心の社会ですから最初から矛盾がありました。だってネイティブ・アメリカンや奴隷の意志は無視ですからね。それなのに建前上は自由の国なのです。最初からワケワカメなのです。
でもこの建前があったからこそ、歴史的に迫害、疎外されてきた人々が戦い、数々のブレイクスルーが生まれ、国際社会から信頼を得てきました。科学やビジネス、ポップカルチャーやスポーツに至るまで、世界を先導してきました。米国の黒人、活発な女性、色んな文化を持ち込む移民なしの世界を想像してください。
クソ面白くない世界が想像できませんか?笑
近年では更に人間の多様性の理解が高まり、ひと昔前までは大都市でしか見られなかったようなLGBTQコミュニティーや移民文化が全米のいたるところで生活に溶け込み、米国をますますカラフルで面白い国にしています。
こうして米国はこの250年、人間には自由意志、つまり自発的な選択と責任がある。だから自分の意思で政治に参加して責任持てと、実験的民主主義国家をやってきたわけです。
でもふと思うんですよ。
この米国のいう「自由」って個人の意思なんだろうか?
放置ゲーという「自由」の中で、人間が活発に動かざるを得ない国なだけなのでは?それが資本主義では最適だったというだけでは?
こっちだとしっくりくる。
この辺を探りたくて読んだのが今回の読書記録です。この部分はAIも使ってざっくりまとめます。
まず1冊目。
Behave ロバート・サポルスキー(Robert Sapolsky)
スタンフォード大学の神経内分泌学者・霊長類学者で、ストレス研究でも有名。生物学・神経科学・進化心理学・社会学・文化人類学などの観点から多層的に分析した大作。
「善悪」は単純な個人の性格ではなく、複雑な要因の総和である
共感や道徳も進化と文化の産物であり、生物学的基盤を持つ
人は合理的というよりは、「文脈的」に反応する動物である
暴力や偏見は、恐怖・集団同調・自己防衛からくることが多い
理解と共感を広げるには、構造的・制度的アプローチが必要
博識な先生が色んな方向から分析したら、人間の行動は条件で決まってくるって結論になった話。さすがに自由意志が無いとは言い切れないようで、最後の方は、一般的には~、傾向としては~、の話ですよ~って事にしていましたがね。
これにもちょっと重なるかな。
2冊目はこれ。
Guns, Germs, and Steel ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)
進化生物学者、生理学者、地理学者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授。本書でピュリッツァー賞(1998年)を受賞。
「なぜユーラシアの文明が他の地域よりも早く発展し、植民地支配や技術的優位を持てたのか?」という問いに対し、生物地理学的な観点から答えようとした作品。
銃(Guns):軍事技術と征服力
病原菌(Germs):ユーラシア人が持ち込んだ病気が現地民を壊滅
鉄(Steel):金属加工技術や道具の発展
人類の文明の発展には、人種的な優劣ではなく、地理的・環境的な条件が大きく影響したという、白人にとっては大ショックな内容。笑
その一方で、「環境がすべてを決める」という論調には単純化や西洋中心的視点の危険があるという批判もあります。
上のBehaveもそうですけれど、アカデミアは社会的に歴史的に西洋人男性優位の世界ですからね。その世代の人が書いたものを私が読むと大事な視点が抜けている感はどうしても拭えません。あ。女性にとっては日本人男性もな。私たちはまだこんな時代に生きているんだなと再確認します。
というわけで、私は偉い先生方の話をちゃんと聞きません。笑
ですがそれを踏まえても面白い本です。これも「自由意志」じゃない方の話ですからね。
3冊目も白人男性高齢者の本です。笑
60年代の本なので差別用語もバリバリです。でもこの本が一番核心ついているかもしれません。それは…
Cat's Cradle カート・ヴォネガット (Kurt Vonnegut)
私は中高生の頃にハヤカワのSF読みまくりました。大学生になってからはカート・ヴォネガットの英語版はそこそこ読んでいるので、今回は3回目です。
今のアメリカの情況見てたら、急にもう一度読みたくなりました。
これは3冊の中で一番お勧めです。
フィクションなのでネタバレにならないよう、ここには内容は書きませんが、ドイツ系アメリカ人の作家で、第二次世界大戦でアメリカ陸軍兵として送られ、ドイツの捕虜になるという経験をしている方なんです。なので戦争に対して複雑な想いがあり、そのバカバカしさ、人間社会の愚かさを、しょうもないキャラ(特にアメリカ人)を使いまくり、虚しいのにクスっと笑ってしまうような作品で表現します。ちなみにこの作品は、広島に落とした原爆を作った科学者とされる人とその周辺の人物たちのドタバタ劇です。
一体何をどうしたらそんな無茶苦茶なことになるんだよ!笑
という本です。
でもこれがアメリカらしいというか、アメリカの本質だよな。
ってなるんですよ。
アメリカが醸し出す謎のプロレス感。善と悪、科学と宗教、共和党と民主党、みたいな分かりやすい対立。
放置ゲーの設計なのかなと。
もはや大統領も放置されてるという…
カート・ヴォネガットが生きていたら爆笑してそう。
