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【奇跡の脱出】全員生還の裏に隠された、学校火災の「違和感」と本当の教訓

先日ニュースで大きく報じられた、東京都の小学校で起きた火災の件です。

4階の音楽室から、窓の外にある狭い「ひさし」へと児童たちが次々に避難し、結果的に一人の死者も出さなかったというあの事件です。

「先生の機転が生んだ奇跡の救出劇!」とメディアでは大絶賛されていましたが……。実は、報道されている時系列や事実関係をじっくり整理していくと、美談の裏にいくつもの「あれ? おかしくない?」という違和感や、見過ごせない問題点があるように思いました。



まずは事実の整理:あの時、何が起きていたのか?

いくつかの報道や、実際にその場にいた子どもたちの証言をまとめると、次のような状況だったようです。

音楽室で授業をしていた女性教諭が焦げ臭さを感じて廊下を確認。ただ火災に気づかなかったのか、一度音楽室へ戻ります。 その後、火災報知器が鳴ったため、別の部屋にいた男性教諭が「音楽準備室」に駆けつけると煙と炎が…。消火器で消火を試みますが、断念。その後、男性教諭は避難路を確認するため近くの階段へ向かい、防火扉は閉まっていることを確認。防火扉には、脱出用の出入口がありましたが廊下に煙が充満していたことから、音楽室の窓から外のひさしへ児童らを避難させたということです。  

警視庁によると火災報知機のベルを聞き男性教員が駆け付けると音楽準備室の角付近が激しく燃えているのを確認。消火器を噴霧しましたが、火は消えませんでした。この時、廊下にはすでに煙が充満している状態でした。そのため男性教員は児童らに窓からひさしに出るよう指示し、児童らを抱えて次々とひさしへと避難させたといいます。

音楽室では当時、5年生24人が授業中で、40代の女性教諭が臭いに気付いて準備室の扉を開けたところ煙を確認。火災報知器が作動し、駆け付けた男性教諭が初期消火をしたが消せなかった。

「最初に警報機が鳴って、隣の準備室の扉の方から煙が入ってきました。煙が最初は白く、だんだんと黒へと変わっていきました。先生が大きな声で『窓を開けて』と指示を出し、みんなで窓を開けました」

学校側の公式発表によるタイムラインは以下の通りです。

・10時50分 児童から「焦げ臭いにおいがする」とあり。
・10時55分 火災報知器が作動。消防へ通報し、校内放送で避難指示。
・10時58分 副校長が119番通報。教員3人が初期消火を試みたものの、火の勢いが強く避難誘導へ切り替え。

これらを一つの時系列にまとめると、こうなります。

  1. 6月19日11時頃:音楽室で女性音楽教諭が24名の生徒に授業をする。

  2. 音楽教諭が焦げ臭さを感じて廊下を確認するが気づかない。

  3. 音楽教諭が臭いに気付き音楽準備室を開けたところ煙を確認。

  4. 火災報知器が鳴る。構内放送で避難指示。

  5. 別の部屋にいた男性担任教諭が駆けつける。

  6. 担任教諭が消化器を噴霧するが火が消えない。

  7. 廊下に煙が充満していた為避難できないと判断。

  8. 音楽準備室から煙が入ってきたので担任教諭が「窓を開けて」と指示。

  9. 教員らが音楽室の「救助袋」を使おうと試みるがうまく使えなかった。

  10. 女性教諭(担任教諭という報道もあり)が窓の外のひさしに逃げるように指示。担任教諭が1人づつ抱えて窓の外に避難。

確かに、激しい炎が廊下にまで迫る中、4階の窓から「ひさし」に逃がすという決断によって全員が無事だったのは本当に良かったですし、間違っていなかったと思います。

ネットやテレビでも、このように先生を称える声が多く聞かれました。

少年の母親は、「火元の音楽準備室に阻まれて、音楽室にいた生徒たちは廊下から避難できなかった。それで音楽の女性の先生が"窓から出よう"と決めたみたいです」と説明する。教師のとっさの機転、そして急な指示に従った生徒たちを以下のように称賛した。

でも、ちょっと冷静になって考えてみてください。 「窓を開けた時点で、もうそこしか逃げ場がなかった」のだとしたら、それは本当に『とっさの機転』だったのでしょうか? むしろ、そこまで追い詰められてしまっていた状況自体に、大きな問題が隠されている気がしてならないのです。



違和感①:火災報知器が鳴るのが遅すぎない?

まず疑問なのが、火災報知器のタイミングです。 「報知器が鳴った時点でもう廊下に出られない、逃げ場がない」というのは、火災報知器の役割を果たせていると言えるでしょうか?

本来、部屋に設置されている煙感知器や熱感知器は、火災の初期段階でいち早く異常を知らせるためのものです。「気づいた時には手遅れ」になるような作動スピードだったのだとしたら、設備の維持管理やシステムの基準に問題はなかったのか、とても不安になりますよね。

違和感②:いざという時の「救助袋」が使えない恐怖

時系列の9番目に出てくる一幕。実は現場の先生たちは、音楽室にあった避難器具(救助袋)を使おうとしていたんです。でも、結果は「うまく使えなかった」。

これって、かなり恐ろしいことだと思いませんか? 子どもたちの命を預かる学校という場所で、いざという時の脱出装置の使い方が周知されていなかったのか、あるいは器具そのものに不備があったのか。どちらにせよ、普段からの点検や避難訓練のあり方に大きな課題を突きつけています。

違和感③:火元はまさかの……?「予防」の甘さ

火災の原因についても、驚きの可能性が報道されています。 まだ確定ではありませんが、火元となった音楽準備室では、電気ストーブにコンセントが刺さった状態だったことが分かっています。さらに、燃えた複数の衣類や、サーキュレーターの残骸も見つかっているそうです。

……これ、もしかして誰かが「電気ストーブで服を乾かしていた」のではないかと邪推してしまいます。もしそれが事実なら、あまりにも危険すぎる行為です。学校の安全管理として、またその部屋を管理する立場として、「知らなかった」では済まされないレベルの過失があったのではないかと疑わざるを得ません。

違和感④:最大の問題。「初期消火」と「避難」、どちらが優先だった?

そして私が一番首をかしげたのが、「なぜ、もっと早く廊下から普通に避難できなかったのか?」という点です。

高さのある4階のひさしに避難するというのは、一歩間違えれば転落による大惨事になる、究極のギャンブルです。子どもたちのうち多くは裏側の実質2階の高さのひさしに避難しましたが、実際、3人は正面側の4階の高さのひさしに取り残されてしまっていました。

避難訓練などで私たちが必ず習う大原則は、「火災の時は、初期消火よりもまず避難」ですよね。でも今回の動きを見ていると、その原則が守られていなかったように見えてしまうんです。

音楽教諭が最初に火災に気づいた段階では、その後に別の部屋から男性教諭が音楽室に駆け込めているわけですから、まだ廊下は通れたはずなんです。音楽室を出てすぐそこには階段があり、煙は上に向かっていくものなので、すぐに廊下に出て階段の防火扉の向こう側へ駆け込んでいれば、安全に下へ降りられた可能性は十分にあります。

しかし現場で行われたのは、「まず消火器で火を消そうと試み、消せなかったから、さあ避難しよう」という順序でした。そのわずかな時間のロスが廊下に煙を充満させ、結果として子どもたちを窓の外のひさしへと追い詰める原因になってしまった可能性もあるのではないかと思うのです。



さいごに

結果として全員が生還できたからこそ、今回は「美談」として終わることができました。

でも、一歩間違えれば、煙を吸い込んだり、ひさしから転落したりして、大事故になっていたかもしれない紙一重の状況だったのです。同じことをやっていても児童が足を滑らせて一人でも亡くなった場合、180度報道は変わっていたと思います。

多くのヒロイックな報道に流されるのではなく、なぜ初期消火を優先して避難が後回しになってしまったのか、なぜ救助袋が使えなかったのか。この事件が隠している本質的な問題に目を向けるべきではないかと思います。

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