日々是好日№100 ~連載100回目に寄せて
~人生の余韻~
人生の余韻には惹かれた言葉の記憶もある。
心に刻まれた幾多の言葉には、走馬灯の様に時折り思い浮かんで来て、
その奥深い含蓄にハッとさせられる。
「色褪せない余韻のタイムカプセル」

写真を始めて10数年、まもなく所属クラブの第4回写真展を迎える。
回を重ねるごとに「展示」への気負いやこだわりが薄れてきたと感じるが、それは情熱が冷めたのではない。他人に認められたいという欲を手放し、
ファインダーの向こうにある「自然の導き(はからい)」や、日常の偶然の
美しさを自分自身が静かに目撃し、愉しむだけで満たされるという「自由」と「成熟」の境地へ至ったからだと考える。
ではなぜ今も写真展に出展するのか。それは自らを誇示するためではなく、空間を通じて仲間や見知らぬ誰かと「その瞬間、そこにあった空気」を温かく共有し、調和を楽しむことに本当の価値を見出しているからに他ならない。
10数年の歩みの中で、写真への向き合い方は名作を狙う「足し算」から、 飾らない日常の本質を見つめる「引き算の美学」へと変わった。過去の作品たちは、当時の空気や心の動きを鮮明に蘇らせ、人生の歩みを肯定してくれる、かけがえのない「記憶のタイムカプセル」であり、長年付き合ってきたカメラは今や身体の一部となっている。
写真展という「特別なハレの日」へのこだわりが薄れたのは、写真が私の「日常(ケの日)」そのものに溶け込んだ証だろう。これからの10年も、 さらに透明な目で目の前の愛おしい世界を直視し、二度と戻らない何気ない日々の光景を、言葉と写真で静かに紡ぎ続けていきたい。
【第1回写真展作品:Shower】

【第1回写真展作品:気高い野良】

【第2回写真展作品:淡彩】

【第2回写真展作品:湖面に木枯らし】

【第3回写真展作品:野良と家】

【第3回写真展作品:野良と家】

歩んで来た人生には置き忘れた物が沢山あるようで、何か勿体無い。
流されていく日々の中で、ふと立ち止まらなければならないときがある。
時々は惹かれた言葉の記憶を思い出し、その余韻に浸るのもいいですね。
~ 写真散歩 ~
「キャンドルナイト」



