いのちの電話は「やりがい搾取」なのか
悩みや、希死念慮・自殺念慮のある人からの電話をボランティアで受ける「いのちの電話」の相談員養成講座に行ってみた。
全国に50のセンターがあり、それぞれに相談員養成が行われ、認定されれば、どのセンターでも対応できる相談員として認められるらしい。
正直言って、私は「いのちの電話の相談員になりたい」、という強い気持ちはない。
手弁当でこういうところの相談員になりたい人ってどんな人なのかに興味があり、また、講座の内容が、私が目標にしている、「地域に自傷行為・自殺未遂者の分かち合いの場をつくる」に当たっての参考になりそうだから、行っている。
私が行ったセンターでは、相談員の養成講座は2年かけて行われ、途中からは受講料も発生するとのこと。
単純に考えて、授業料や交通費を払って2年間の講座に出続け、認定された暁には、割り振られたシフトによって交通費も自腹で電話を受ける生活をしていく、しかもその電話は、愚痴だったり、悩みや不安だったり、死にたい気持ちだったり、はっきり言って「マイナスからのスタート」のものばかり。
分野は違うが、航空会社グランドスタッフだった頃の「LLの電話」が思い出される。
LLとは、Local Lost and found の略で、航空会社が預かった荷物の破損や紛失、遅延、客同士による取り違いや盗難などに対応する仕事のことで、大きい空港だと専任のスタッフが何人もいる。
あの仕事も、常に「マイナスからのスタート」だが、仕事としてお給金や社会保険がついているので、異質といえる。
「いのちの電話」も、せめて、交通費や弁当代、相談員手当てなどが出るのであれば、もっとやってくれる人はいるのではないか。
相談員が足りなく、慢性的に「つながらない電話」と揶揄されているようだが、「利害関係のない、市井のボランティアが対応することに意味がある」と言い張るのは無理がある気もする。
というのも、そのセンターの会報を見ると、おそらく講師などへの「謝礼」のほかに、年間約270万円の「人件費」が発生しているのだ。
事務局スタッフなどの人件費なのだろうが、相談員のみに、交通費や講座受講料、電話対応に当たる精神面などの「自腹」を求めるのは、おかしくないか。
こんなことを考える時点で、私は「いのちの電話」のお呼びではないのだろう。
そんな先入観もあってか、そのセンターの事務局長やスタッフが、申し訳ないけれど、とても「うさんくさく」見えてしまうのだ。
「いのちの電話」の運営に、誠心誠意関わっている皆さまには頭が下がるが、ひねくれ者のワタシには、こう見えてしまう。
