漫画制作日記 コマ割り研究「恋は雨上がりのように」1話①
眉月じゅん先生の 『恋は雨上がりのように』の冒頭2話を簡単に模写して気がついたことなど。
場所を現す背景のパースが真正面の時、揺るぎなさや静けさを感じる。居眠りする主人公のフカンの全身図がきて、その存在に視線がフォーカスするのだが、眠りから目覚める姿が物語の始まりを自然と予感させている。
そして教室の後ろから前へ収束する構図で1話が始まる。ドラマを感じさせる。彼女に差し込む光で時間帯を表して、呼びかけられる名前で読者は彼女の名前を知る。この2ページで主人公がマイペースな女子高生で橘という名前だと分かる。
アオリ構図で話しかけてくるクラスメートの男子が映る。ちょっとした唐突さを表している。放課後まで寝ていた彼女を口説こうとするが無視されて逃げられる。その逃げ足をアップで描く。これは伏線。彼女の走る美しいフォームを全身で描写。乗るはずのバスに乗り遅れる。このシーンで彼女には足に何かしら問題があり、望みを叶えられないことを予感させている。その後の数コマで部活でランニングしている人影を無言で見つめる彼女。あくびを一つして場面はバイト先へ。部活動に何かしらの屈託があるのを示唆している。
バイト先の店をワンカットで斜めに。バイトの制服にビシッと着替えた後ろ姿。控え室に貼られたバイトの心得でメクリ。次のページのヒキは彼女のアップと美味しそうなパフェ。バイトが始まる。すぐに店長に気がつく彼女。手前から奥への構図でクレーム対応する店長にフォーカス。今度は逆から。伺うように彼を見つめる彼女。次のページも、同僚と会話しながらずっと店長を追っている絵が続く。なにかしら興味が強い(のちにわかるが恋心)ことを表している。その間に店長の位置は彼女に近づいてくるように展開されている。読者は彼女の視線を追うように店長という男を知るように導かれる。
オフィスの文字を見切れさせるコマ。サンドイッチをのカット。バックヤードで腹ごしらえをする彼女。サンドイッチを頬張る横顔。可愛らしく描かれる。
女子高生らしく体重を気にしているのかもしれない。俯瞰構図でいきなり店長に話しかけられる。ここは先ほど学校で同級生に話しかけられたシーンに被せている。彼への反応との違いを表すためだ。なんとも思っていない彼のことは無視するのも平気なのに、店長には一々緊張する様子や、オッサンの後ろ姿を気がつくとじっとみてしまう様子が描かれる。汚ねぇくしゃみや鼻をかむ様子、10円ハゲ…大きな円な彼女の瞳のワンカット。店長に気づかれて挙動不審になる姿。シフト表を渡して、
よく働くねぇ。何か欲しいものでもあるの?と聞かれて…覗き込むポーズで心の中で"店長…"と呟く。手前にトーンだけで何も悟ってない店長を表現する。
相手のことなどまるでお構いなしに突き進む真っ直ぐな恋心を表している。
そして1ページ丸ごと彼女のバストアップで、心の声"すき…"(平仮名のすきにも意味はある。透明感、真っ直ぐさ、初さなど)とそんなに睨まないでくれよ。という店長のセリフ。
これまでの細かいコマ割りとのインパクトで直球の感情がドカンと伝わると同時に、店長には全く伝わってないこともドカンと伝わってくる。女子高生の真っ直ぐさ怖い 笑
続く…https://note.com/sakura18122299/n/n1d46b0a6c24c
