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【本】路上《再読》


 再読どころではなくて、10代の頃、初めて読んでから何度読み返しているかわからない。
 私が大昔に買ったときは「路上」というタイトルだったのだが、現在発売されているものは「オン・ザ・ロード」に変わっているようだ。

 ただただあちこちを旅して回るだけで、何があるという話ではない。
 一定の世代には超有名な本でもあるので、さぞかし感動的な話だと思う人もいるかもしれないが、そうではない。
 実に淡々と、男が右往左往しながらアメリカ大陸を走り回る様子を描きながら、作者自身の心が踊っているのがわかる。
 ストーリーはあってないようなもので、自伝的な記録を筆記する作者自身のわくわくやドキドキがそのまま文字になったような文章の躍動感、それがおそらくこの本の魅力なのだと私は思う。

 この本はジャズと共に語られることも多いのだが、それは頷ける。
 熱狂し、泣き、笑い、怒り、逃げ、遊び、セックスし、走り、ダラけ、倒れ、眠り、怠ける。
 人の人生は常に即興の中にあり、全く同じ瞬間は二度と訪れない。いわば人は延々とアドリブを続け、即興的に人生を組み上げていく。
  
 この本はその過程で起きる作者の心の変化をそのまま、剥き出しで書き殴ったような、危うく生々しく、しかし詩的な記録であり、それが魅力なのだ。

 日常こそが旅であり、だからこそ命がけでそれを楽しみ切ることが至福であると伝えるこの本はしかし読むたびに、人の成長に合わせて変化しているのではないかと思わせる、不思議な本である。

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