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09From This Moment On(&Fred&Brad)


Verce(はじめに)

ジャズスタンダード歌詞和訳9曲目は、From This Moment On です。
作詞・作曲はコール・ポーター。
スタンダードナンバーの中ではマイナーな部類かもしれません。最近は足が遠のいてしまってますが、私が今まで行ったジャズのライブでも取り上げられたことは一度もなかった気がします(スタンダードナンバー自体が星の数ほどあるのですが)
その中でこの曲を取り上げた理由は、前回のBill EvansのMy  Foolish Heartに続いて、このスタンダードナンバーは”ここ数年において”1番聴いてるお気に入りのテイクがあるからです。
そのテイクは、Fred Herschがジャズの聖地、ビレッジバンガードで演奏したライブ音源の、From This Moment On になります。

前回、今までの人生を通して一番聴いたBill Evans のMy foolish heart を紹介しましたが、Evansは普遍性で通俗的な側面があるのに対して、Fred HerschのFrom This Moment Onはジャズを諸々聴いた地盤の上で、改めてドツボにハマり、吐くほど聴くようになった曲です。何百と聴いても全く褪せません。(勿論、人それぞれの趣向があるわけで、私にとって至高の一曲が誰にでも当てはまるとも思っておりません)
このテイクの素晴らしさは決して途切れぬグルーヴ感にあるかと思われます。ジャズではよくこの"グルーヴ"という単語はよく出てきます。無知な私は独断と偏見で解釈しているのですが、改めてグルーヴの意味を検索してみると、
グルーヴとは、音楽に合わせて身体を動かしたくなるとか、ノリや高揚感、一体感、波のようなうねりといった抽象的な解釈になっています。
一方で私の身勝手な解釈では、グルーブを”浮遊感”として捉えています。
体にまるで風がまとわりついて地から離れるような感覚。自分が音楽と一体になる感覚。浮いてしまうほどの高揚感。フレッドハーシュのこのテイクを聴くと、まさに私はアドリブと同時に(1分20秒過ぎたあたりから)足が大地から離れていく感覚を覚えます。そして何よりも素晴らしいのが、一度地面から離れてしまえば、曲が終わるまで、決して大地に足が触れることはないところ。
あらゆる制約から解き放たれて、自由にも大胆不敵、繊細にも軽やかに大空を謳歌する感覚。これが私がこの曲に抱いているイメージです。
漫画のワンピースで、フランキーが空中で落ちないよう、その場で大工して階段を作っていくシーンがあったことを何となく覚えているのですが、まさにそのような感じです。
紡いだ音楽によって宙を浮き続けている。
余談ですが、空中浮遊の話になると私は大好きな作家、ポール・オースターの”ミスターヴァーディゴ”を想起します。オースター作品の中でも最も好きな作品の一つです。この寓話性もありながら理不尽なリアリズムに満ちており、作品全体がジャズのあらゆる要素を体現しているようにも解釈できる気がします。
さて、話が長くなりました笑(まだまだ長くなります汗
ここで、この曲について非常に興味深い点がありまして、先ほどスタンダードナンバーとしてはマイナーと言いましたが、フレッド・ハーシュはこの曲好んでいるのか、他のアルバムでもトリオ演奏で取り上げる他、ソロでも演奏しています。加えて尚興味深いのが、ブラッド・メルドーも同様に、アルバムでトリオでの演奏と、ソロでの演奏で取り上げているところなのです。
この奇妙な共通項、現代を代表するジャズピアニスト二人が、マイナーなスタンダードナンバーをトリオとソロのテイクでアルバムに収録しているのは非常に面白いです。ブラッド・メルドーがフレッド・ハーシュのプレイを敬っているのはどこかで知った記憶がありますが、感化されたのだろうか、とか考えて一人でニヤニヤしてます笑
実際のところはどうなんでしょう。単なる偶然でしょうか。
因みにブラッド・メルドーは自身初のリーダーアルバムに収録しています。まだエグくなる前、成熟する前の若きブラッド・メルドーの真っ向からのアドリブが、これはこれで好きだったりします。このテイクはドライブ感がたまりませんね。1分20秒あたりからジェットコースター感覚で一気に加速するのたまらないです。
フレッドとブラッド、皆様の好みはどちらでしょう?

もう、目次ではじめに、っていうのやめようかな・・・笑
さすがに本題の翻訳に入りましょう!

From This Moment On歌詞和訳

(Sakana-Jazz拙訳です。ご容赦ください)
******************
From This Moment On

From This moment on
You for me, dear
Only two for tea, dear
From this moment on
 
From this happy day
No more blue songs
Only whoop-de-doo songs
From this moment on
 
Oh you’ve got the love I need so much
Got the skin I love to touch
Got the arm to hold me tight
Got the sweet lips to kiss me good night
 
From this moment on
You and I babe
We’ll be ridin’ high babe
Every care is gone
From this moment on
 
たった今、この瞬間から
わたしにとってあなたは
二人でお茶する唯一の人
たった今、この瞬間から
 
この幸せな今日から
ブルーな曲はなくなって
お祭り騒ぎの曲ばかり
たった今、この瞬間から
 
あなたはわたしが求めすぎる愛を手にしている
わたしが触れて愛しい肌を手にしていて
わたしをきつく抱きしめる腕を手にしていて
わたしにおやすみのキスをしてくれる甘い唇を手にしていて
 
たった今、この瞬間から
あなたとわたしで
わたしたちは絶好調で
あらゆる心配も吹っ飛んで
たった今、この瞬間から

******************
訳すと、シンプルな歌詞のハッピーな恋愛ソングですね。マリオカートのスター状態みたいな恋愛絶頂モードな時期を歌った曲のようですが、その勢いを女性シンガーが一気にテンポ良く歌い上げる感じがこの曲本来の持ち味でしょうか。
今気づいたんですけど、同曲を収録してるブラッド・メルドーのファーストアルバムのジャケットは彼がお茶してる写真ですね。もしかしてこの歌詞をもじったのでしょうか…?
おそらく偶然でしょう!笑

From This Moment On オススメ曲

From This Moment On のボーカルのテイクで自分がハマったテイクはアニタ・オデイとクリス・コナー。この二人がずば抜けてどちらも秀逸で選べません。まさしくフレッドとブラッドに次ぐ二択です。
まずはアニタさん。アニタさんのハイテンポを余裕綽々と歌う感じがカッコ良いですよね。ギターのソロがめっちゃかっこいいなぁと思って調べたら、大好きなタル・ファーロウじゃないかッツ!!
一人でテンション上がってます。それが知れただけでもNoteやってて良かった〜笑

でもクリス・コナーの方が好きかなぁ、このストレートに正面をブチ抜く爽快感がたまらないんですよね。ってこの解釈は正しいのだろうか・・笑

この二人を取り上げてみて恥ずかしくも初めて知ったのですが、二人ともスタン・ケントンオーケストラ輩出で、ジューン・クリスティと合わせて、ケントン・ガールズと呼ばれていたそうです。みんな私が大好きなアーティストで、やはりスタン・ケントンの見る目に狂いはありませんね。本当によくわかっていらっしゃる(なんて偉そうに言えませんが)

現代のアーティストからサラ・ランクマンさん。私はコットンクラブで一度ライブに行ったことがあります。ジョバンニ・ミラバッシのトリオとのコラボで本当に素晴らしいライブでした(調べたら、もう五年も前の話で焦りました)。二人とも気さくな方で一緒に写真も撮ってくれたなぁ・・

このスモーキーな感じ、かっこいいですよね。

くどいようですが、最後に改めてフレッド・ハーシュとブラッド・メルドーのそれぞれのソロテイクで締めます。

どちらがお好みか、教えて頂けたら嬉しいです。
それではまた。
いつもご覧頂きありがとうございます。


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