「日曜に逮捕されたのは、権力が動いたからだ!?」 ~陰謀論、都市伝説好きのネット民の皆様へ
「“日曜に逮捕はできない”という声が、無知から生まれた都市伝説である理由」
2025年11月9日、兵庫県警による立花孝志氏の逮捕をめぐって
■ 「日曜に逮捕?」とざわつくネット
兵庫県警が「NHKから国民を守る党」党首・立花孝志氏を名誉毀損の疑いで逮捕した。
このニュースが流れたのは、**日曜日(11月9日)**だった。
その瞬間、SNSではこんな声があふれた。
「日曜に逮捕なんてできるわけがない!」
「誰かが裏で動いてるに違いない」
「政権が警察を操っている!」
いわば、“日曜日逮捕=陰謀”という新たな都市伝説が生まれようとしている。
だが、これは法的にも実務的にも誤りであり、現実を知らないことからくる誤解にすぎない。
■ 法律上、曜日に制限はない
日本国憲法第33条はこう定めている。
「現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」
ここで重要なのは、「曜日」について一切の制限がないという点だ。
つまり、逮捕状は日曜でも祝日でも発付できる。
さらに、法的裏付けは明確である。
「裁判所の休日に関する法律」第1条第2項には、こう書かれている。
「前項の規定は、裁判所の休日に裁判所が権限を行使することを妨げるものではない。」
要するに、裁判所は休日でも通常どおり権限を行使できる。
つまり、日曜でも裁判官が令状を発付することに何の法的問題もないのだ。
■ 裁判所は「夜間・休日」も動いている
意外に思うかもしれないが、裁判所には当直体制が存在する。
例えば横浜地裁が公表している公式資料には、次のような記述がある。
「令状の請求は昼間だけでなく夜間にも行われることがあり、裁判所も当直体制で対応している。午前2時に起きて令状審査をすることもある。」
そう、裁判官は夜中でも休日でも、必要があれば起きて令状を出す。
それが司法のリアルな現場だ。
■ 土日でも進む「逮捕から勾留」までの時計
刑事訴訟法では、
逮捕から48時間以内に検察へ送致、
検察はさらに24時間以内に勾留請求を判断
と定められている。
この時間制限は土日祝でも止まらない。
そのため、警察・検察・裁判所には休日当番制が設けられている。
「土日は止まる」という思い込みは、現場を知らない人々の“生活時間感覚”による錯覚に過ぎない。
■ 陰謀論はなぜ生まれるのか
人は、自分の知らない仕組みに出会うと、そこに「意図」や「力の操作」を感じ取りやすい。
「偶然」よりも「誰かがやった」と考える方が、心理的には安心できるからだ。
SNSは、その思い込みを一瞬で「確信に変える装置」になる。
見たことのない事例が出ると、「ありえない=何者かの陰謀」と短絡的に結びついてしまう。
だが、今回の“日曜逮捕”は、単に制度のリアリティを知らないだけだ。
それを「裏の力」と言い換えるのは、無知を物語に変えてしまう危険な行為である。
■ 現実を知ることが、陰謀に抗う力になる
誹謗中傷は決して軽視すべきではない。
だが、今回のテーマはそこではない。
問題は、「日曜に逮捕できるわけがない」という誤解が、社会の分断を助長する点だ。
司法制度を正確に理解することは、権力を盲信することではない。
むしろ、根拠のない“陰謀”に振り回されないための最低限の防御である。
■ 結論──「日曜逮捕」は合法であり、日常である
裁判所は休日でも令状を発付できる(法的根拠あり)
裁判所・検察・警察には休日当番体制がある
時間制限(48時間・24時間ルール)は休日でも進む
実際に2025年11月9日(日)に兵庫県警が逮捕を実施した事例がある
つまり、“日曜に逮捕できるわけがない”という主張は、法にも実務にも反する。
曜日ではなく、証拠と判断がすべてなのだ。
■ 終わりに──静かな事実を信じよう
陰謀論が生まれるのは、人々が「知らないこと」に不安を感じるからだ。
だが、制度を理解すれば、その不安の多くは霧のように消えていく。
真実はいつだって、派手な物語よりも静かな現実の中にある。
だからこそ、私たちは「現実を知ること」で陰謀から解き放たれるべきだ。
