なぜ、エース社員ほど「見えない不満」を抱えているのか?
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「なんであんなに優秀な人が、突然辞めてしまったんだろう…」 「うちの会社、最近、デキる人から抜けていく気がする…」
採用担当者や経営者の皆さんは、こんな悩みを抱えていませんか?特に、組織のエースや将来を期待していた若手、あるいは実績を出しているベテラン社員が辞めていくのは、企業にとって計り知れない損失です。
なぜ、企業にとって「いなくてはならない」存在である優秀な人ほど、会社を去ってしまうのでしょうか?その裏には、企業側が気づきにくい**「見えない不満」と、組織が陥る「ワナ」**が存在します。
例えるなら、豪華な船に乗り込んだにもかかわらず、なぜか優秀な航海士やエンジニアばかりが次々と下船していくようなものです。船長(経営者)は「燃料(給与)は十分だし、船体(会社)も立派なのになぜ?」と首を傾げますが、実は船室(職場環境)の空気や、航海の目的地(ビジョン)に、彼らが求める「何か」が足りていないのかもしれません。
1. なぜ「優秀な人」ほど辞めていくのか?企業が陥る3つのワナ
優秀な社員が辞めていくのは、彼らがより良い条件を求めているからだけではありません。むしろ、彼らの「優秀さ」ゆえに、企業が気づかぬうちに陥ってしまうワナがあるのです。
ワナ1:「優秀だから大丈夫」という過信と「任せきり」
実態: 優秀な社員は、自分で問題を解決し、期待以上の成果を出します。そのため、上司や経営者は「この人に任せておけば安心」と、彼らの状況を細かく把握することを怠りがちです。結果、彼らが抱える本当の課題や不満、キャリアの悩みに気づくのが遅れてしまいます。
例え: 自律的に育つ秀でた作物だからと、水や肥料(フィードバックや支援)の与え方を気にせず放置してしまう農家。作物は自力で育とうとしますが、やがて土壌の栄養が尽き、枯れてしまいます。
ワナ2:「成長機会の提供不足」と「チャレンジの制限」
実態: 優秀な社員は、現状維持ではなく常に「成長」と「挑戦」を求めます。しかし、企業が彼らに新しいプロジェクトや責任ある仕事を任せず、既存業務の延長線上ばかりだと、彼らは「ここでこれ以上成長できない」と感じ、外部に機会を求め始めます。
例え: 才能あるアスリートに、常に同じトレーニングばかりさせ、新しい技や次のステージへの挑戦を許さないコーチ。アスリートは自分の限界を感じ、他のチームや場所を探し始めるでしょう。
ワナ3:「評価・報酬制度のミスマッチ」と「不公平感」
実態: 成果を出しているにもかかわらず、年功序列の評価制度や、成果が正当に報酬に反映されない仕組みでは、優秀な社員のモチベーションは低下します。彼らは自分の市場価値を客観的に認識しているため、適正な評価や報酬が得られないと感じれば、当然ながら不満を抱きます。
例え: チームの得点源として大活躍している選手なのに、新人選手と同じような給料しかもらえない状況。「なぜ自分の貢献が認められないんだ?」と不満が募り、移籍を考えるのは自然なことです。
2. 優秀な社員が本当に求める「見えない報酬」と「エンゲージメント」
これまでのコラムでも触れてきましたが、優秀な社員が会社に求めるものは、決して給与や地位だけではありません。彼らが本当に求めているのは、以下の**「見えない報酬」であり、これがエンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)**を高めるカギとなります。
成長機会と自己実現: 新しい挑戦、スキルアップ、裁量権の拡大
貢献実感と承認: 自分の仕事が会社や社会に役立っている実感、正当な評価と感謝
良好な人間関係と心理的安全性: 安心して意見が言える環境、信頼できる仲間
企業のビジョンへの共感: 会社の目指す方向性や存在意義に共鳴し、その一員である誇り
ワークライフバランスと柔軟性: 個人の生活を大切にしながら働ける環境
優秀な社員は、これらの「見えない報酬」が不足していると感じたときに、たとえ給与が現状維持、あるいは少し下がったとしても、それらを提供してくれる可能性のある企業へと転職を決断します。
「優秀な人から辞めない」企業になるためのカギ
「優秀な人から辞めていく」というワナから脱却し、彼らを組織に留め、さらに活躍してもらうためには、以下の取り組みが不可欠です。
定期的な1on1と「傾聴」の徹底: 形式的な面談ではなく、上司が部下の話に耳を傾け、キャリアの悩み、仕事への不満、将来の展望などを深く理解する場を設けましょう。上司自身がコーチングスキルを磨くことも重要です。
戦略的な「成長機会」の提供: 優秀な社員には、積極的にストレッチアサインメント(少し背伸びするような難しい仕事)を与え、新しいスキルや経験を積む機会を提供しましょう。社内研修の充実や、外部研修への参加支援も有効です。
成果と貢献に見合った「透明性の高い評価・報酬制度」: 年功序列に囚われず、個人の職務の価値や成果、組織への貢献度を公正に評価し、それが報酬に明確に反映される仕組みを構築しましょう。評価基準の透明性を高め、社員が納得感を持てるようにすることも重要です。
ビジョン・ミッションの浸透と「共感」の醸成: 経営層が自社のビジョンやパーパスを繰り返し語り、社員一人ひとりが日々の業務を通じて、それが社会にどう貢献しているかを実感できる機会を創出しましょう。社員の「この会社で働いていることに誇りを持てる」という気持ちを育むことが、強いエンゲージメントに繋がります。
心理的安全性の高い組織文化の構築: 失敗を恐れずに意見が言える、挑戦を応援する、お互いを尊重し助け合う文化を醸成しましょう。ハラスメント対策の徹底や、多様性を包容する姿勢も不可欠です。
4. まとめ
「優秀な人から辞めていく」という現象は、企業が「給与さえ払っていれば大丈夫」という古い価値観に囚われたり、優秀さゆえの「任せきり」に陥ったりするワナが原因で起こりがちです。
これは、「宝物(優秀な社員)を手に入れたのに、その宝物が本当に輝くために必要な手入れ(成長機会や承認)を怠り、結果的にその輝きを失わせてしまう」ようなものです。
優秀な社員を組織に繋ぎ止め、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、彼らが本当に求める「見えない報酬」に着目し、エンゲージメントを高めるための戦略的な人事施策を実行することが不可欠です。
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