ハノイAI行政、不退転の決意。
■行政がAIで動く時代へ。
・最新のニュース、「行政がAIで動く時代へ、2026年度末までにハノイ全ての行政機関でAI100%導入を宣言」。
・ベトナムのハノイ市は「26年末までに全ての行政機関で人工知能(AI)を指導・運営に活用する目標を掲げた。ハノイ市政府傘下の各機関・部門は、26年10月1日以降、整備が完了した市共通のAIシステムを利用する方針である」。
・同計画は「『デジタル政府』、『デジタル経済』、『デジタル社会』の三本柱で構成され、この目標はデジタル政府分野に位置付けられる」。行政運営では「26年末までに各機関間の意見照会文書を少なくとも50%削減するほか、国家機密を除く全ての業務書類を電子環境で処理する」。
・オンライン会議の割合も「全体の60%まで引き上げる。各機関のポータルサイトは公開性・透明性・統一性を確保し、市民や企業との双方向機能を備える」。行政手続きでは「データ再利用率を最低95%とし、期限内または前倒しで処理される案件の割合を98%以上に設定する。不受理や補足要求の割合は5%未満に抑える」。
■APIファーストに基づく。
・デジタル経済分野では「2026年末までに域内総生産(GRDP)に占めるデジタル経済の付加価値比率を最低22%とする。各産業分野でのデジタル経済比率は15%以上、電子商取引の小売総額に占める割合は17%超を目指し、電子商取引指数で全国首位の維持を図る」。
・デジタル社会分野では「電子身分証の保有率を95%以上(うちレベル2は90%)に引き上げ、組織・企業・個人事業者の電子認証アカウント保有率も90%以上とする。成人のスマートフォン利用率は95%、15歳以上の銀行口座保有率も95%超を目標とする。成人の60%以上がデジタル署名または電子署名を保有することも掲げた」。
・デジタルサービス利用では「行政手続きのオンライン申請比率を80%、電子結果の交付率を100%とする。公共サービスや公共料金の決済のうち90%以上をキャッシュレス化し、成人の45%以上がオンライン健康相談や遠隔診療を利用することを目指す」。
・これらの実現に向け「ハノイ市はAPIファースト(API=Application Programming Interface=システム間の連携窓口の設計を最優先する手法)に基づき、デジタルアーキテクチャの整備を進める方針です。これは、単なる自動化ではなく、行政の透明性と相互接続性を担保する不退転の決意の表れと言えるでしょう。)原則に基づくデジタルアーキテクチャとデータアーキテクチャの整備、共通データ基盤や共通プラットフォームの構築、セキュリティ設計の強化を進める。あわせてデータ一覧の見直し・更新を行い、AIに関する規範の公表や、市データセンター内に運営ダッシュボードセンターを設置する計画である」。
■ASEAN諸国がDXを加速させる中で。
・余談、今なぜベトナムは『AI行政100%』なのか。ASEAN諸国(タイ、インドネシア等)がDXを加速させる中、ベトナムが「世界の工場」から「高付加価値経済」へ脱皮するためには、行政の肥大化・非効率は許されない状況下、『国家デジタル転換プログラム(決定第749号)』において、ベトナムは2030年までに「デジタル政府」を実現する国家目標の最前線として、ハノイ市が先行する。
・上述の「デジタル経済の付加価値比率を22%に引き上げる」ことは、ハノイの成長率を維持するための「生命線」であり、国際競争力において、国連の『E-Government Survey(電子政府ランキング)』におけるベトナムの順位向上を狙い、世界中の投資家(FDI)に対して「透明性と予測可能性」を証明する手段としてAIが選ばれたようだ。
・AI導入は「人材リストラ」を断行せざるを得ないのだろうか。ここには「排除」という冷徹な言葉ではなく、行政組織の「リ・スキリング(再教育)」と捉えて、ベトナム労働法第42条には「『技術の変化、組織構造の再編』に伴う労働問題への対処」が規定されており、政府は安易な解雇ではなく、AIを操作する側への転換を促す法的責任を負っている。
・実際には「人員削減」よりも、現在の複雑な手続きに対応しきれていない「リソース不足」をAIで補い、公務員をより付加価値の高い「市民対話」や「戦略立案」にシフトさせるという形が、当面の現実解と捉えられる。電子身分証90%以上という目標は、もはや「政府」と「市民」がリアルタイムで同期することを意味する。
・APIファーストの原則に基づき、健康相談、公共料金、行政申請がすべてスマホ一つで完結する社会。これは単なる便利さではなく、汚職の温床となる「対面での裁量」を排除し、公平な社会を構築するための「デジタル・デトックス」でもあるのだろう。ハノイが目指すこの壮大な実験は、単に効率を追うための冷徹な機械化ではないーーーAIによって極限まで効率化を図り、余った時間と情熱を、人間にしかできない『共感』や『創造的な軌道修正』に充てる。そうして、技術と人間の感覚が最適に調和した先に、よりよい社会が実現されることを願う。
