AIはただのツール【素人の戯言】
※ 注意
この記事の内容はすべて個人の感想であり、素人のたわごとです。
そのため、学術的な正確性、論理的な整合性などにおいて、問題が見られることがあります。予めご了承下さい。
また、個人の偏見に基づき一般化された理解や表現がされていることがあります。差別表現などのないよう注意して執筆していますが、問題に気付いた場合はコメントをお願いします。
また引用の形式で書かれた文は読み飛ばし可能な箇所なので、お急ぎの方は無視することをお勧めします。
生成AIにかかわる著作権の問題がChatGPTの登場によって騒がれるようになった。まず、全体的に見て、論点になりがちな要素を挙げてみた。
学習データの著作権
生成物の著作権
類似性の問題
今回は 2. について書きたいと思う。
最も重要なことは僕の話す内容は創作活動に生成AIを用いることに焦点を当てているということだ。そこをあらかじめ注意して読んでほしい。
既存ツールとの違い
たとえば、Microsoft Wordを例に挙げよう。Wordで書いた小説の著作権に関して、Microsoftと争うことはないだろうと思う。なぜなら、Wordはただのツールに過ぎないからだ。文章などの権利や責任はそのツールを使用した人間に帰属する。
生成AIも本質的にはWordなどと変わらないはずだ。
生成AIによる生成物は、プロンプトなどを工夫したユーザーの指示によるもので、作成したのはあくまで人間だ。たとい生成AIの出力が高度で創造的に見えても、それは「ツールを使いこなした結果」に過ぎない。
勿論、生成AIの精度が直接的に内容に影響を与える点など、Wordなどの従来のツールとの相違点はいくらでもある。だから、一概に上記のようなことを主張するのも危険だとは思う。が、やはりそこに明確な違いがあるかについては再考の余地があるだろう。
人は都合よく考える
とはいえ多くの人が、生成AIを準人間的存在と思ってしまいがちな印象がある。
そして、「準」人間的存在と思うことで、自分に言い訳をしているのではないか。
「生成AIを使ったから」品質が悪くなってしまった。
「生成AIを使ったから」偽の情報が入り込んだ。
「生成AIが作ったから」既存の作品に似てしまった。
「生成AIが作ったから」読みにくい文章になった。
チーム制作で作品の質を担当者のせいにしてしまうように、明言することはないだろうが、心のどこかで作品の完成度の低さをAIのせいにできてしまう。自分を守るために生成AIに責任転嫁をしてしまう。
そういった経験はないだろうか。
では、もしも素晴らしい文章が出来上がったら、今度は「生成AIのおかげ」になるだろうか。
まあ、多少はなるだろう。こんなに便利なものがこれまでにあっただろうかと考えるだろう。
しかし一方で、TVやネットでみかけた生成AIを使いこなす能力に関する文脈を都合良く思い出し、少しは嬉しくなるのではないか? もしくは、この素晴らしい唯一無二の作品は自分の高い能力によって生み出されたのだ、自分は時代に乗り遅れずに最先端に適応しているのだと、少しは自負心が湧くのではないか?
AIを使いこなすことについての自負心は全く問題ではない。ただし、うまくできなかった際にAIのせいになるという、この都合のよさがあるとすれば、それは問題だし、生成AIの著作権問題は言い訳をしたいことが原因の一つではなかろうか。
生成AIと既成ツールの大きな違い
一方で生成AIと既成ツールとの間には大きな違いもある。
これまでの創作活動においては以下の3つの手順を経て作品が存在した。
アイデアを思いつく
スキルを身に着ける
作品を完成させる
そして、1. をできる人は少なくない。しかし、そのアイデアを形にするためのスキルを身に着けることは決して容易ではなく、それには多大なコスト(金銭的、時間的、労力的に)が必要だった。そのため、これまでは 2. と 3. が障壁となり、その壁を突破したクリエイターたちは希少価値が高かった。
しかし、AIの登場により、その壁はとても低くなった。アイデアがあれば、生成AIに入力し、その出力を待てばよくなったのだ。AIの性能にもよるが、その点は今後改善され、近い未来に全く文句ない性能まで引き上げられるだろう。そして、スキルトレーニングという壁がなくなり、完成させるという壁も相当低くなった。
このことは創作活動の形態を大きく変化させることにつながると思う。
また、アイデア出しもAIに助けてもらえる。以下はChatGPTと行ったアイデア出しだ。
>>> ユニークなSF短編小説のアイデアを出して
アイデア:「時間署」
設定
未来の社会では、時間犯罪(過去改変や未来への干渉)が急増。政府は「時間署」と呼ばれる特殊な捜査機関を設立し、時間犯罪を監視し取り締まる。署員は「クロノディテクティブ」と呼ばれるエージェントで、特殊なタイムジャンプ技術を使い、改変された歴史を修正するのが仕事。
あらすじ
新人クロノディテクティブの主人公が最初の任務に挑む。彼の任務は、21世紀のある日、小さな町で起こった謎の「時間震」事件を調査し、修正すること。ところが、現地に到着した彼は、自分が存在するはずのない時代の人物として記録に残されていることに気づく。
調査を進める中で、彼は時間犯罪者ではなく「時間署」そのものが陰謀を企てていることを知る。その目的は、ある特定の未来を確定させるために歴史を微調整することだった。時間署に背き、自分の存在が消えるリスクを冒しながらも、主人公は歴史の真実を守る決意をする。
テーマ
個人の自由意志と巨大なシステムの衝突。時間の流れを操作することの倫理的な問題と、その影響の不可解さを探る。
ツイスト
最後に主人公は、自分自身が過去の歴史改変の産物であり、存在そのものが「時間署」の企みによって作り出された人物であることを知る。それでも彼は、自らの信念を貫き、未来を自分の手で選び取る道を選ぶ。
>>> あなたは敏腕編集者です。この企画の悪い点を5つ指摘してください。
「時間署」企画の悪い点
1. 設定が既視感を与える
タイムトラベルや時間犯罪を扱う物語はSFの定番。特に「時間を監視・修正する機関」という設定は、すでに多くの作品で使われている(例: 『タイムパトロール』、『LOOPER』など)。差別化が必要。
2. 主人公の動機が弱い
新人エージェントがいきなり巨大な陰謀に巻き込まれるのはドラマチックだが、彼自身の個人的な動機が弱いと物語が薄っぺらくなる。なぜ主人公がこの任務に命を懸けるのかを強化すべき。
3. 時間改変のルールが曖昧
時間を操作する物語では、読者が納得できる「ルール」が必須。現状、時間犯罪や歴史改変の影響、時間署の技術的な制約について具体性が不足している。これがないと、物語の緊張感が薄れる。
4. 敵の動機が不明瞭
時間署が未来を操作する理由が具体的に描かれていない。彼らの「目的」が曖昧では、単なる悪役に見える。彼らにも信念や事情があり、共感できる部分を描けば物語が深まる。
5. ツイストが予測可能
主人公が自分自身も改変の産物だと気づく展開は、SFではよくあるアイデアで、新鮮味に欠ける。物語の中盤で伏線が透けて見えてしまう可能性が高い。より意外性のある展開を検討するべき。
>>> あなたは天才作家です。これらを編集者から指摘されたため企画の修正を行わなければいけません。
修正点1: 既視感を払拭する新設定
時間署を「未来のエリート層が運営する秘密結社」に変更。時間犯罪の取り締まりではなく、「過去を特定の方向に制御する」ことを目的とする組織に。物語は主人公がその体制の歪みを暴こうとする姿を描く。時間署という名称も、「クロノ・シンジケート」に変更し、より陰謀めいた印象を与える。
修正点2: 主人公の動機を強化
主人公は新人ではなく、改変された過去により家族を失った元被害者。家族の記録すら「消去」されたことで、復讐心と真相究明のためにクロノ・シンジケートに潜入。彼の動機は強い個人的感情に基づいており、組織を内部から壊そうと試みる。
修正点3: 時間改変のルールを明確化
時間は「フラクタル構造」で成り立ち、改変は「一定範囲でしか効果を及ぼせない」ことを設定。
改変の影響が未来に反映されるまで一定の「タイムラグ」が発生する仕組みを追加。このラグを利用して、主人公は陰謀を逆手に取る。
「時間署」の技術は完全ではなく、特定の事件の痕跡や残留記憶が残る可能性があるため、主人公が真実に気づく手がかりを自然に提示。
修正点4: 敵の動機を掘り下げる
クロノ・シンジケートの目的は、「未来の環境破壊や人類滅亡を防ぐため、過去を制御し続ける」こと。彼らは崇高な理念を持っているが、その手段が非人道的。敵側のリーダーと主人公の対立を通じて、「正義のために何を犠牲にするべきか」というテーマを深掘りする。
修正点5: ツイストに意外性を追加
主人公が実は改変の産物だった、というアイデアを発展させる。主人公は家族を失っただけでなく、「彼自身も存在していなかった」未来が元々の歴史だったことが判明。クロノ・シンジケートが彼を「歴史改変のキーマン」として意図的に創り出した存在であることを物語の終盤で明かす。
さらに、主人公は自身が「改変の産物」であるにもかかわらず、最後に自分の意志で未来を決定づける選択を下す。
新しいテーマ
「犠牲と選択」:何を守り、何を捨てるべきか。主人公が、自分が存在する権利を主張しながらも、過去と未来の両方に責任を負おうとする姿を描く。
う~ん、すごい。”時間は「フラクタル構造」”とか”絶対に思いつかないようなアイデアが出てきた。MCUのドラマ『ロキ』を見たからだろうか、既視感は未だ拭えないが、僕が出すよりは余程よいアイデアだろう。
※注釈
『ロキ』はめちゃくちゃ面白い。とてもお勧めだ。Disney+で配信されている。というかMCUは映画とドラマを一通り見た方がよい。外れの映画もたまにあるが、視聴者の期待値が高すぎるだけな気もしている。
生成 AI 時代の創造性についての考察―最後に残るものはなにか|宮島衣瑛
AIによる生成の創造性に関する研究
2024年7月12日付でScienceAdvances誌に掲載された研究は、人々がどのようにOpenAIのLLM「GPT-4」を使って短編の物語を書くかを調査し、生成AIモデルが人間の創造性に与える影響を調べた。
この研究では、新規性と有用性という2つの指標を挙げ、創造性のものさしとした。新規性とは物語の独創性のことで、アイデアが現状や期待からどれだけ逸脱しているかを評価する。そして有用性とは、短編小説がさらに発展すれば出版物になる可能性として解釈されている。
新規性インデックスは、3つの要素(新しさ、独自さ、珍しさ)から構成され、これらを平均値として算出した。有用性インデックスも同様に、3つの要素(適切か、実現可能か、公開可能か)から構成され、平均値を計算した。
研究では、まず293人の参加者【作家】を集め、個人の本来的な創造性を測定するため「発散連想課題(DAT)」を課した。その後、作家は以下の3つの実験条件のいずれかにランダムに割り当てられ、「開かれた海での冒険」「ジャングルでの冒険」「別の惑星での冒険」のいずれかについて「10代および若年成人向けに適した短編8文の物語」を書くよう指示された。
DATでは、互いにできるだけ異なる10の単語を挙げることが求められる。DATスコアは、単語の埋め込み表現のcos距離を計算して100スケールに正規化したものであり、個人の本来的な創造性を測定する。
生成AIの助けなしに物語を書いた「人間のみ」条件
1つの生成AIアイデアを使った「人間と1つの生成AIアイデア」条件
5つの生成AIアイデアを使った「人間と5つの生成AIアイデア」条件
生成AIを使える2つの条件の作家の内、88.4%が少なくとも一度は生成AIを呼び出して初期の物語アイデアの提供を受けた。
完成した物語は、まず作家自身が物語の創造性についての自己評価をした。
作家の自己評価では次の6つの質問にどの程度同意するかを尋ねた。1. 書くのが楽しかったか、2. どれだけうまく書けたか、3. どれだけ退屈だったか、4. どれだけ面白かったか、5. どの程度予想外の展開があったか、6. そのストーリーが将来のストーリーに対する期待をどう変えたか
その後すべての物語は、別のグループである600人の参加者【評価者】によって評価された。評価者は無作為の6つの物語を3つの段階において評価した。
評価者による評価の1回目では、情報が開示される前に、スタイル的特徴、独自性、そして有用性が評価される。
2回目に、文章がAIによって書かれた可能性と人間によって書かれた可能性がパーセンテージで評価される。
3回目で、評価者は作家が生成AIにアクセスし使用したかどうかについての情報を伝えられ、その後、各物語の作成者がその物語の所有権を主張するかどうかについての回答を提供する。
後ろ二つの質問を平均して所有権インデックスを作成した。
探索的な目的で、主要な研究課題に直接関連しない追加の質問が主要な調査の後に行われた。具体的には、作家とAIとの間で所有権と仮想的な利益がどのように分割されるべきか、AIを用いて創造的な出力を生み出すことが倫理的であるとどの程度信じているか、創造的な出力におけるAIの関与をどのようにクレジットすべきかなどについて質問された。
その結果、評価者は、生成AIのアイデアを受け取った作家に対して、人間が独力で執筆した文章と比較して、少なくとも25%の所有権のペナルティを課した。また、ほとんどの評価者は、モデルの基礎となるコンテンツの作成者には報酬があるべきだと回答した。さらに、多くの評価者が、このようなツールを使用した出版物にはAIの使用やAIからの基になるテキストの開示が必要であると考えている。一方、多くの評価者がAIを使用した物語の執筆を倫理的であり、依然として「創造的な行為」と見なしていた。
結果、「人間と5つの生成AIアイデア」条件の作家が、最も創造性が高いと評価されたことがわかった。
新規性に関しては、「人間と1つの生成AIアイデア」条件の作家は、「人間のみ」条件の作家と比べて5.4%の増加を示し、「人間と5つの生成AIアイデア」条件の作家は、「人間のみ」条件の作家と比べて8.1%増加した。
有用性に関しては、「人間と1つの生成AIアイデア」条件の作家の物語の有用性は、「人間のみ」条件の作家と比べて3.7%高く、「人間と5つの生成AIアイデア」条件の作家は、「人間のみ」条件の作家と比べて9.0%増加した。
前述したように、作家は事前に「発散連想課題(DAT)」を完了している。DATスコアと組み合わせて結果を分析すると、もともと高い創造性を持つ作家(高DATスコアの作家)の文章には、生成AIがその高い評価に影響を与えることはないとわかった。そして、本来的に創造性が低い作家の文章ほど、生成AIのアイデアが大きく寄与し、スコアを向上させていた。
つまり、生成AIを使用できる条件は、創造性の低い作家と高い作家の間の創造性についての評価を事実上均等化した。
また、研究者らによるOpenAIの埋め込みAPIを利用した文章の類似性の調査によれば、生成AIアイデアにアクセスすることで、物語は同じ条件内の他の物語の平均に近づく。つまり、これまでの調査結果は生成AIの利用による個々の創造性の向上を示唆しているが、集団全体としての新規性が失われるリスクもある。
ScienceAdvances(英語):Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content | Science Advances
MIT Tech Review:MIT Tech Review: 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
いろいろ言っているが、ScienceAdvances誌を読むにあたって、ChatGPTを用いて翻訳を行った。
まとめ
上記の研究では、アイデア段階の生成AIの利用によって、作品の多様性が低下することが示された。この問題が、今後の技術進化により改善されていくかはわからないが、そう遠くないうちにAIが創作活動の全工程を完全に代替できる日が来るかもしれない。
これまでの歴史を考えると、技術革新というものは常に既存の職業を減らし、新たな雇用を生み出した。
19世紀の産業革命では、製造業における作業の単純化と機械化により、熟練工の需要が減少した。一方で、この技術革新は新たな産業や職種を生んだ。
20世紀初頭のオフィスの機械化・電化では、事務機器の導入により業務コストが低下した。その結果、高度な教育を受けた事務職員の雇用が増大した。
具体的な予想については素人のものよりより正確なものが世に出回っているため控えておくが、生成AIは確かに既存の職業の存続に影響を与えるだろう。一方、新たな雇用はその分生み出され、もしくは職業などの形態そのものが変化するなどして、長期的には安定した状態であることに変わりはないのではないかと思う。
当たり前のことを長々と述べた気もするが、この記事は以上とする。
訂正や補足などありましたら、コメントいただけると嬉しいです!
いいなと思ったら応援しよう!
僕の創作活動をより活発にするために、よろしければ応援をお願いします!