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【僕の愛車回顧録】:アウディ A6 2.4(C5型)

僕にとって2台目となるドイツ車、アウディ A6 2.4。

所有期間は最も短かく、そして最も鮮烈で記憶に残る経験をした車だ。
残念ながらワインディングを攻めることも、高速道路でのロングドライブを楽しむこともほとんどないまま手放すことになったが、アウディの圧倒的な安全性能を見せつけてくれた1台だった。

ドイツ車の安全性を実感した「出来事」

「危ない!」
そう叫んだ瞬間まで、意識はあった。
緩い右カーブの途中、オーバースピードの対向車がセンターラインを割って突っ込んできたのだ。
この時、僕は生まれて初めて「気を失う」という経験をした。

再び目を覚ました時、アウディは道路の法面に乗り上げて止まっていた。
室内にはエアバッグの白い煙と火薬の臭いが充満している。
顔全体が焼けるように痛い。もしや大怪我をしたのかと焦ってルームミラーを覗くが、顔にはエアバッグの縫い目の跡がついただけで無傷だった。

その後駆けつけた救急車で病院へ搬送され精密検査を受けたが、幸いにも全治1週間の頚椎捻挫という軽傷で済んだ。

近所の人は「ドーン!」という凄まじい音に驚き、車が大破した現場を見て「これは助からない…」と思ったそうだ。

廃車になったアウディとの再会

事故から数日後、全損で廃車が決まったアウディと再会した。

小雨が降る中、アウディは引き取られた整備工場の駐車場に佇んでいた。
遠目で見ても相当なダメージを受けているのが分かる。右に傾いた車体。フロントガラスはひび割れ、片方のドアミラーが無い。
近寄って見ると、フロントフェンダーから運転席ドア、後部座席ドア、リアフェンダーまで、まるで巨大なハンマーで抉ったかのように潰されていた。
タイヤは前後ともパンクしている。

運転席側のフェンダーは無残に捲れ上がり、鋳鉄製のドアヒンジが露出していた。慎重にハンドルを引くと、意外にもドアは普通に開いた。
展開したエアバッグを除けば、キャビン内は事故前と変わらない空間が保たれていた。ドアの内側も全く変形していない事に驚く。
車内に残された私物を全て取り出しドアを閉めると、「バスンッ!」といつもの重低音が響いた。

荷物を袋詰めしていると、工場の社長が傘を差し出してくれた。
「やっぱり外車は頑丈だな。この当たり方は結構危ないんだ…」

傷ついたボディを手でさすりながら、僕は言った。
「本当ですね。アウディで助かりました」

シンプルで質実剛健な「100」の後継車

そんな短い付き合いだったA6は「100」の後継車に当たる。

丸みを帯びた宇宙船のようなボディは、特にリアからの眺めが良い。
現行型のアイデンティティでもあるアーチ状の滑らかなルーフラインは、この車から始まったのだ(と思う)。

A6はこのアングルがカッコいい。

室内は無駄な飾り気が一切なく至ってシンプルで、オーディオ類をウッドパネルの蓋で隠すと殺風景に見えるほどだ。
表示類は全て赤い液晶で統一され、夜間の雰囲気もいい。

内装は紺色を基調にウッドが配置され、雰囲気は何となく「100」に似ている。

エンジンは2.4リッターV型6気筒DOHC。
高回転型で上までしっかり回るが、街乗りがメインだったので回す機会は少なかった。どちらかと言えば、SOHCの「100」のフィーリングのほうが好みだったかな(排気量が違うのでフェアな比較ではないが…)。

乗り味はアウディらしい芯のある硬さがあり、フラットな乗り心地は実に快適だった。この足ならワインディングも存分に楽しめたはずだ……たぶん。

あまりに短い付き合いで、その良さを知り尽くす前に手放すことになったA6だったが、あの事故のことを考えれば正しい選択だったと思う。

ドイツ車の安全性を実感させてくれた愛車には、今でも感謝している。


【1998年式:アウディA6 2.4 主要諸元】

・全長x全幅x全高 / 4805×1810×1450(mm)
・車両重量 / 1630(kg)
・ホイールベース / 2760(mm)
・駆動方式 / FF
・エンジン / V型6気筒DOHC30バルブ
・総排気量 / 2393cc
・最高出力 / 165ps(6000rpm)
・最大トルク / 23.5kg・m(3200rpm)



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