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あのポーズを見るたびに。

子どもは、

信じている人にしか、

見せない姿がある。

目次

1.娘が見せる、小さな合図

2.コンビニで見かけた親子

3.あのポーズに隠れているもの

4.いつか、見られなくなる日まで

1. 娘が見せる、小さな合図

うちの娘は四歳半。

同年代の子と比べると、

少し小柄な方だ。

だから今でも、

抱っこをする機会が多い。

もちろん、

重たくなったなと思う日はある。

でも、

娘が抱っこを求めてくる時間は、

僕にとって嫌な時間ではない。

むしろ、

地味に好きな瞬間がある。

抱っこしてほしい時、

娘は何も言わない。

ただ、

両手を大きく上げる。

アルファベットの

「Y」

みたいな形になる。

その姿を見るたびに、

「はいはい。」

と言いながら、

つい笑ってしまう。

2. コンビニで見かけた親子

先日、

コンビニで二歳くらいの女の子と、

お母さんを見かけた。

女の子は少し歩き疲れたのか、

お母さんの前で立ち止まった。

そして、

何も言わずに、

両手を上げた。

あの「Y」のポーズだった。

お母さんも、

何も聞かない。

何も言わない。

当たり前のように抱き上げた。

ほんの数秒。

ただそれだけの光景なのに、

僕は思わず見入ってしまった。

「かわいい。」

もちろん、

それもあった。

でも、

胸が温かくなった理由は、

それだけじゃなかった。

3. あのポーズに隠れているもの

子どもは、

誰にでもあのポーズをするわけじゃない。

抱き上げてくれる。

受け止めてくれる。

安心できる。

そう信じている相手だから、

何の迷いもなく両手を上げられる。

「抱っこして。」

そんな一言さえ必要ない。

ただ手を伸ばせば、

受け止めてもらえる。

子どもにとって、

あのポーズはお願いじゃない。

「あなたなら大丈夫。」

そんな信頼の表現なんだと思う。

だから僕は、

娘が両手を上げるたびに、

少し誇らしい気持ちになる。

父親として、

信頼してもらえているのかもしれない。

そんな気持ちにさせてくれるから。

4. いつか、見られなくなる日まで

でも、

きっとこのポーズには、

終わりがある。

「自分で歩ける。」

そう言う日が来る。

抱っこより、

友達と並んで歩く方が楽しくなる日も来る。

娘は成長する。

それは嬉しいことだ。

でも、

あの「Y」のポーズを見られなくなると思うと、

少しだけ寂しい。

だから今日も、

娘が両手を上げたら、

僕は迷わず抱き上げようと思う。

腕が少し疲れても、

服が少し汚れても、

それは今しかできないことだから。

いつか、

抱っこを卒業した娘は、

このポーズを覚えていないかもしれない。

でも、

父親の僕はきっと忘れない。

何も言わずに両手を上げ、

「お父さんなら受け止めてくれる。」

そう信じてくれていた、

あの小さな姿を。

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