本の紹介⑮築島裕(2021)『古代日本語発掘』吉川弘文館
本書は平安時代を中心とした国語史・訓点資料研究の第一人者であった筆者が研究に取り組んできた体験や研究の成果をそれらが一般の人々に理解できるように訓点資料やその研究史について基礎的な知識を交えて紹介する本である。
訓点資料とは一言で言えば漢文に記号を付して訓読した形跡が残されている資料であり、国語史の史料としてそれらは重要な位置を占める。
本書はそのような訓点資料一般について初学者が理解できるよう書かれた概説書である。
本書は概説書的な知識の解説を行う部分もあるが、戦後という時代の中で学問に邁進する一人の人間としての筆者を感じられるようなエピソードや筆者の主観を交えた体験談が書かれており、読み物としても楽しむことが出来ると思う。
また、個人的に本書のはじめに書かれている言語や国語、国語教育の問題意識は現在も変わらず通用するものであると感じた。
本書には以下のようにある。
国語への正しい知識は、国語への愛の基礎である筈である。
愛すにせよ、憎むにせよまずは正しくその対象を知らなくてはならない。
本書を手に取り、日本語史や訓点資料に少しでも興味を持って頂ければ幸いである。
