ママ、帰ったよ
私はシングルマザーで、小学2年生の娘を育てています。
世間ではさまざまな意見があるかもしれませんが、仕事中や離れている時間に何かあったときのため、娘には小学1年生の頃からiPhoneを持たせています。
先週のお昼過ぎのことでした。
仕事中にスマートフォンが鳴り、画面を見ると娘の名前が表示されていました。
「えっ? なんで?」
まだ児童館にいるはずの時間です。
何かあったのではないかと少し慌てながら電話に出ると、受話器の向こうから聞こえてきたのは、どこか弾んだ娘の声でした。
「ママ、帰ったよ!」
「ママ、○○ちゃん、ひとりで帰れたよ!」
その一言に、私は思わず息をのみました。
娘は、とても慎重な性格です。
周りのお友達が少しずつひとりで帰るようになっても、「私はまだ無理」と言って、いつも夕方まで児童館で私を待っていました。
だから私は、「ひとりで帰れるようになるのは、まだ少し先かな」と思っていたのです。
それなのに、その日は何の前触れもなく、自分の力で家まで帰っていました。
驚きより先に胸に広がったのは、じんわりとしたうれしさでした。
その瞬間、仕事を抜け出して飛んで帰りたいと思った。
玄関で、「おかえり」と抱きしめてあげたかった。
娘はどんな顔でドアを開けたのだろう。
少し誇らしげに、「できたよ」と思っていたのかな。
そんなことを想像するだけで、胸がいっぱいになった。
(ああ、ひとりで帰れたんだ。)
娘の小さな世界の中で、何かがカチリと音を立てて動き出した、そんな瞬間だったように思います。
後日、同じ年頃の子どもを育てる同僚にこの話をすると、
「え~、怒らなかったの?」
と驚かれました。
その言葉を聞いて、私も少し考えました。
もちろん、安全は何より大切です。
でも、私の心に一番残ったのは、
「私はできる。」
そんな小さな自信を、娘自身が手にしたことでした。
子どもは、親が思っている以上に、自分のタイミングで少しずつ成長していくのですね。
心配だから止めたくなる日もあります。
転ばないようにと、つい先回りしたくなる日もあります。
それでも、「できた!」という経験は、子どもの世界を少しずつ広げてくれるのだと思います。
「ママ、帰ったよ。」
あの日の電話は、娘がひとつ大きくなったことを知らせてくれた、小さなお祝いのベルのようでした。
これから先も、娘は私の知らないところで、たくさんの「できた」を積み重ねていくのでしょう。
そのたびに心配もすると思います。
でも、それ以上に「すごいね」と一緒に喜べる母でいたい。
受話器越しに聞こえた、少し誇らしげな「ママ、帰ったよ。」という声は、きっとこれからも、私の心の中で何度も響き続ける気がしています。
がんばる君の最前列に
シュビドゥビ ドゥビドゥビ
ずっといたい🎵

