【旅のこと】ノマドの国へ(ウランバートル/モンゴル)
モンゴルへ行ってきました。
私の仕事はフリーランスのライター業です。
ほそぼそとした個人事業主であり、SNSで見かける「PCひとつで世界を旅しながら、好きを仕事に!」みたいなキラキラした生活ではまったくないのだけれど、カメラとPCを持ってうろうろしながら仕事をしているのは事実。
ノマドワーカーなどという言葉もすっかり一般的になってきた現在、
ここらで一度本物のノマド(遊牧民)の国を表敬訪問しておかねばなりません。

ウランバートル4泊5日の旅。
成田-ウランバートルはMIATモンゴル航空直行便で5.5時間という近さです。
サクッと行ってきました。
楽しかった。
一言で言えば、モンゴルってすごい国です。

人口密度が世界一低いと言われていて、1平方キロメートル当たりの人口は2人。
そしてウランバートルは世界一寒い首都で、年間平均気温は-0.6℃。まさかの氷点下です。
世界で一番スッカスカで、世界で一番寒い。
なんかすでにハードです。
標高は思いのほか高く、ウランバートルで約1300メートルあります。
ヒマラヤのふもとに位置するネパールの首都・カトマンズと同じくらい。
ゴビ砂漠ですら、標高1000メートル以上あるのだそうです。ひたすら平らな草原をイメージしていたけれど、モンゴルは高原の国といったほうが正しいかもしれません。

そして地政学的なことを言えば、ロシアと中国に挟まれているのです。ハードすぎる。
せめてどちらか片方だけでもどうにかならんのか、という気がします。
こんなクセ強な大国2つに挟まれて、淡々と独立を保っている時点で、とんでもなくすごい国です。
でも考えてみれば、モンゴルはすごいに決まっている。

何と言っても、かつてモンゴル帝国(大モンゴル国)を作ったチンギスハーンを輩出した国なのです。
モンゴル帝国は、陸続きのひとつの国としては、世界史上もっとも広い国土を持っていたとされています。
東は朝鮮半島北部にはじまり、現在のモンゴルや中国、北はロシア南部、中央アジアやコーカサス地方を経て西は東ヨーロッパや中東にまで及びました。
シリアやトルコ、ウクライナ、ポーランドまでがモンゴル帝国。すごいです。(ここに日本が飲み込まれずに済んだのは本当にラッキーだったという気もするし、海が挟まるといろいろ勝手が違ったのかもしれません)

いや、そんなモンゴル。
大ハーンの時代に比べれば2026年現在の国土はずっと小さくなったとはいえ、今なおとてつもなく広いのです。
面積は日本の4倍。
人口は日本の40分の1です。すごい。
遊牧民にとっては、一人あたりに必要な面積、快適に暮らせる面積が私たちのような
農耕定住民族とは桁違いなのでしょうか。
たった数日の旅で首都とその近郊をチラ見しただけでも、実にスケールが大きく、おもしろい国でした。
まさにロシアと中国の間、ヨーロッパとアジアの狭間!という感じもあって楽しい。

ウランバートル駅で見かけた、北京行きの国際列車に乗ってみたかった。
モンゴル国内を南下したのちに国境越え、内蒙古自治区を抜けて北京を目指すのだそうです。楽しそう。

走りだした列車に手を振ったり写真を撮ったりしていたら、中国人の車掌さんがハートマークでポージングしてくれました。
一期一会の楽しい時間でした。
そして何より、モンゴル人はかっこいいのです。街中や空港でも、民族衣装を着て歩いている人たちがとても素敵でした。
騎馬民族、という感じの衣装、好きです。

ウランバートルは都会だけれど、少し離れれば大平原。ひとたび草原エリアへ足を踏み入れれば、さらに遊牧民への憧れのようなものをかきたてられます。
テレルジ国立公園内で馬を追いかけている人たちが厳密な意味での遊牧民なのかは微妙かもしれないけれど、馬に乗って草原を駆け回る姿は、素直にかっこよく見えました。
そこには言いしれぬロマンがあります。
本物のノマドは、やっぱりかっこいい。
一ヶ所にとどまらず、たくさんの家畜を連れてゆったりと移動する。住まいはゲル。
この地で、ずっと昔から続いてきた暮らしです(最近はウランバートルでの定住を選ぶ若者も増えているようですが)。

家すらもひょいっと片付けて、たたんで軽々とどこかへ持って行く彼らのライフスタイルは、狭いマンションが軒並み1億円を超えているのに都心を捨てられない多くの日本人にとって、なかなかのアンチテーゼでもあります。
越冬する場所や家畜の出産シーズンを過ごす春営地などはかなり固定されているとも聞きますし、国が管理する放牧地である以上、まったく無計画にうろうろしているわけではないのでしょう。
遊牧の暮らしならではの制限、しがらみ的なものもありそうです。
それでも、土地に定着した家や特定の狭い地域にしばられない自由さや身軽さは、うらやましくも感じられます。

そしてモンゴルは、底知れぬ力のようなものを感じる国でした。
世界の歴史において、ものすごい勢いに乗った瞬間を持つ国、とんでもない栄華をきわめて天下をとった国、というのがいくつかあります。ローマ帝国や大英帝国、スペインやオスマントルコなども考え方によっては入るかもしれません。
そしてモンゴル帝国は、確実にそれらの中でも瞬間最大風速がかなり上位の国と言えるでしょう。
何かをぶっちぎった国というのは、やっぱりおもしろい。
今なお壮大でゆるやかで、広大な草原を風が吹き抜けていく余白みたいなものを感じられる国だけれど、とてつもないポテンシャルを秘めているのだろうなと思います。
つかみきれない得体の知れなさ、これはモンゴルの魅力のひとつです。

人もやさしかった。
ホテルやレストランのスタッフさんたち、日帰りツアーのガイドさん、あるいはふとしたきっかけで声をかけてくれた現地の人など、誰しもがとても親切でやさしい。
人懐っこい笑顔が愛らしい。
モンゴル出身の力士たちが見せる屈託のない笑顔、ああいう笑い方をしてくれる人たちがたくさんいます。
モンゴルは楽しくて魅力的で、そして本物のノマドの国でした。
最大のトラップは、何と言ってもウランバートルの大渋滞!
空港から街なかまでの50キロに、2時間半くらいかかりました。
これからモンゴルを旅する皆さま、その点だけはどうぞお気をつけてお出かけください。
(モンゴル・ウランバートル/2026年5月訪問)
