【物語】木蓮とコブシ

白絹の衣を纏うた辛夷と木蓮の姉妹が、春を告げ春を語らう。
つと辛夷が木蓮に愚痴を零す。
己の名が気にくわぬというのだ。
こぶし、とは何じゃ此の名は。
淑やかな花姿には相応しくないと蕾を膨らませるよに白肌の頬を膨らませる。
そうかしら、私は好きよ。
木蓮がそう告げて辛夷に微笑む。
辛夷はまだむくれている。
なら、これならどうかしら。
辛夷を慰めるように木蓮が呟き、両の握り拳を天にゆっくりと開いていく。
その仕草を繰り返しながら、華やか雅びに舞う木蓮。
その艶やかな姿に辛夷は魅了され、夢見のような心地に。
ね、と木蓮が微笑み辛夷に告げる。
これでも淑やかな貴女に相応しくない名前かしら、と。
春告げ鳥が呼応するように鳴いた。

               ━了━

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