顔のない眼(閲覧注意)
(ネタバレ注意)
誰にでもあるだろうが、自分にも恐ろしすぎてトラウマになってしまった映画がある。
1960年のモノクロのフランス映画、50数年前にテレビで夜間に放映していた邦題「顔のない眼」だ。小学生の頃だったと思う。

美しい娘クリスティーヌは交通事故によって顔全体に火傷を負ってしまう。その形相を他人に見られないように、仮面を着けたまま森に囲まれた寂しい屋敷にこもっている。
彼女の父親は高名な医師だが自分の娘の顔を元通りにするために執念を燃やし、助手のルイーズと共に別の美しい娘を誘拐して麻酔で眠らせ、顔の皮膚を切り取って娘の顔に移植しようとする。
クリスティーヌは父親の手術によって美しい顔を取り戻したかに見えた。しかし移植した皮膚は根づかず次第に崩れ落ちていく。移植は失敗だったのだ。
顔をはがされてしまった娘は顔全体を包帯でぐるぐる巻きにされた状態のまま飛び降り自殺する。

やがて女性の失踪事件を知った警察が動き始める。
別の娘ポーレットを使っておとり捜査を始めるが、彼女も誘拐されてしまい手術室に運び込まれる。しかしクリスティーヌはポーレットを逃がし、助手のルイーズを刺殺する。

実験目的で飼われていた犬の檻も次々と開け放つ。父親は猛犬たちに噛み殺されてしまう。
クリスティーヌは仮面を着けたまま、ひとり夜の森へゆっくりと消えていく。

呪いも霊も出てこないが、これほど恐ろしい作品も珍しい。
移植が失敗して徐々に崩れていくクリスティーヌの顔はもちろんだが、それ以上に父親の執念とクリスティーヌ自身の絶望感が恐ろしい。顔を剥がされて包帯ぐるぐる巻きにされてしまった女性の悲しみもあまりにも深い。寂しい屋敷のある森に響き渡る実験用犬の鳴き声。
この作品に救いはほぼないと言えるだろう。
往年の名女優アリダ・ヴァリが助手のルイーズ役として出演しているのも驚きである。
くれぐれもネットで画像検索しないことをお勧めする。
