なぜ俺たちは『金太郎』の内容を誰も言えないのか?
金太郎の絵本の内容、誰も覚えてない
『金太郎』の絵本の内容、覚えてる奴存在してなくないか?
覚えてる奴いる?
いる?
本当に?
鉞担いだ金太郎が裸エプロンみたいな状態で前掛けをしていて、クマと相撲を取りました。
終わり。
大概の人の金太郎に対するイメージはこれだろ。
昔話の〇〇太郎シリーズの中でこいつだけがイメージ薄すぎる。
桃太郎伝説でこいつも仲間として登場するが、よく考えてみろ。
鬼を退治した桃太郎、竜宮城に行った浦島太郎、それに対して金太郎はなにもない。
お前この旅に何しに来た?
創作キャラの夜叉姫の方がまだ何者なのかわかる。これはさすがに金太郎がかわいそうだろ。
架空の存在に負けてるぞ。
坂田金時って誰だよ
この金太郎なる人物、後に坂田金時になって大暴れしたというのは一応知っている。
一応、ね。
でもそもそも思い直してほしい。
坂田金時って誰だよ。
声に出して言ってみろ。
「坂田金時」。
誰?
今や銀魂の坂田銀時の方が圧倒的に有名で、あっちは漫画のキャラなのにこっちは実在ベースの英雄なんだぞ。
どういうブランド戦略してんだよ平安時代。
てかそもそも銀魂って幕末が舞台なのになんで主人公の元ネタが平安の人物なんだよ。
その辺グズグズだな。
狙いなのかもしれないけど。
狙いだとしてもグズグズだろ。
で、その金時の主君である源頼光についても、日本史好きや妖怪・風俗好きにしかピンと来ないだろう。
「土蜘蛛を切った人です」と言われて「ああ!」となる奴がこの国に何人いるんだ。
酒呑童子のことは名前くらい知っていても、それを倒したのが頼光だとは誰も知らない。
そして坂田金時はさらにその部下だ。
知名度の地下三階にいる。
エレベーターもない。
まぁそれはいい。
今は金太郎の話だ。
誰も覚えていないのには理由があるはずだ
金太郎が足柄山で裸でいたこと、そして頼光の部下になったこと。
このふたつはギリギリ知られている。
だがその中間が存在しない。
いや、する。
するが誰も覚えていない。
なぜか。
金太郎は読み聞かせの定番のひとつのはずだ。
知名度だってある。
むしろ知名度の割に中身を誰も言えないという現象が異常すぎる。
ドラえもんの話は言えるのに金太郎の話が言えない。
どういうことだよ。
考えられる理由は1つしかない。
そもそもその内容がクソつまらないということだ。
そのミッシングリンクを想像してみよう。
足柄山の金太郎は鉞を担いで木を倒すか、さもなければクマと相撲するという日常を送っていた。
娯楽はクマとの相撲のみ。
Switch持ってないから仕方ない。
そんな生活が数ページにわたり描かれる。
気がつけば10年が経っていた。
麓の村では「山にクマに育てられた大男がいる」と噂が立つ。
村人の中の腕っ節の強い奴が噂を確かめに山へ入ると、確かに大男の金太郎はいるが、別に人間に恨みとかある訳でもないし、普通に魚とかくれる。
何も起きない。
獣臭い大男から魚をもらって帰る村人。
何しに行ったんだよ。
さらに五年が経つ。
全国の化け物をなぎ倒してきた頼光が足柄山の噂を聞きつけてやってくる。
そこで金太郎と出会う。
うーん、つまらない。
これだわ。
これ以外に金太郎のストーリーとして正しいものはない気がする。
金太郎の真のストーリー
ただし現代においてファクトというものは大切だ。
念のため調べさせてもらう。
正しい流れはこうだ。
昔、坂田金時という男の子がいました。
幼いころは「金太郎」と呼ばれ、お母さんと一緒に足柄山で暮らしていました。
金太郎は生まれつきものすごい力持ちで、大きな岩を持ち上げたり、太い木を倒して橋にしたりできました。
山に住むクマやシカ、サル、ウサギなどの動物たちとも仲良しで、一緒に遊んでいました。
ある日、動物たちが相撲大会を開きます。
金太郎も参加し、クマとも力比べをしますが、圧倒的な強さで勝ってしまいます。
そのうわさを聞きつけた武士の源頼光は、金太郎の力と勇気に感心します。
そして金太郎を家来として迎えたいと考え、お母さんの許しを得て都へ連れていきました。
都で成長した金太郎は本名の坂田金時となり、源頼光の四天王の一人として活躍します。
いや俺が考えたのよりつまらない!!!!!
というかクマと相撲してるだけだわ!!!!!
そのイメージしかないというか、それが正しいストーリーなだけだったわ!!!!!
しかも動物たちと「仲良く遊んでいました」って書いてあるけど最終的にその動物たちと相撲大会やって全員倒してるじゃねえか。
友達じゃなかったのか。
「仲良し」の定義が野生すぎるだろ。
なんなんだよ。
これ、伝記として大丈夫なのか?
教訓も何もないのは許す。
日本の昔話って案外そういうとこあるし、浦島太郎だって教訓のひとつもありゃしない。
玉手箱開けたら老人になりましたで終わりだからな。
人助けはするな、という話か?
まぁいい。
だけど金太郎は伝記としてもどうなんだよ。
同じく子供向けの昔話になっている牛若丸を思い出してみろ。
奇しくもあれも源氏関係の物語だ。
そしてあの話には武蔵坊弁慶との五条大橋の対決という、誰がどう見ても「ここがピークです」とわかる大ヤマ場がある。
源氏直系は人間とガチバトルするのに、その配下はクマとの相撲がピークなのか。
格差がひどい。
これを読み聞かされてガキ共は何を思えばいいのだ。
「クマに勝てる大人になろう」か?
なれるか。
正しいストーリーを知った今、脳内がバグを起こしている。
桃太郎は犬猿雉を従えて鬼ヶ島へ乗り込み、浦島太郎は亀を助けて竜宮城へ行った。
対する金太郎は、「実家周辺で畜生相手にマウント取ってたら、たまたま通りかかった社長にヘッドハンティングされた」。
それだけ。
都に行ってからの鬼退治とか四天王としての活躍とか、絵本にするべきエピソードが後半に全部あるのに、なぜかそこは全カットで「クマに勝った!」がクライマックスだ。
編集者は何を考えていたんだ。
ナメすぎだろ、ガキのことをよ。
『金太郎』の絵本の内容を誰も覚えていないのは、俺たちの記憶力が悪いんじゃない。
絵本にするには、あまりにもただのハローワークの事例紹介だったからだ。
明日から裸エプロン姿で、クマ探してきます。
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