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犬は3歳児並みに賢いのに、身体構造だけがあまりにもバカすぎる

鼻先がちょっと湿ってるだけで涼しくなるわけがない


犬、バカすぎやしないか?

いや、待て、分かってる。
決して知能全般のことを言っているわけではない。
知能のみに絞った場合、犬はとても賢い生き物だ。
賢いどころの話じゃない。
むしろこっちが土下座したくなるレベルだ。

例えば犬の中で最も賢いとされるボーダーコリーは、人間に換算すると約3歳児並の知能を有している。
「たった3歳?」と思われるかもしれないが、3歳児を侮ってはいけない。
3歳児はもう自分の意思でイヤイヤ期を発動できる猛者だ。
しかも交渉、駆け引き、時には号泣という強硬手段まで駆使してくる、立派なストラテジストでもある。

かように、3歳と言えばコミュニケーション能力がちょうど発達する時期であり、コリーは人間の言葉を約250以上理解できると言われている。
250語だ。
また、簡単な数字なら数えて把握することもできる。
おやつを3個渡すと言ってこっそり2個しか渡さなかった場合、ちゃんと「足りない」と気づくらしい。
詐欺が通じない生き物、それがボーダーコリーだ。

これがどれだけすごいかと言うと、基本的に「おっぱい」「おケツ」「おちんちん」「うんち」という3種類の単語しか使いこなせない俺より、何倍も何倍も賢いということだ。
というか、俺よりも金銭感覚も落ち着いていて、俺よりも人間関係の距離感も上手く測れるし、たぶん俺よりも将来設計もしっかりしている。
ボーダーコリーに履歴書を書かせたら、俺よりいい会社に採用される可能性すらある。


では、冒頭の一言に戻る。

犬、バカすぎやしないか?

犬の知能は優れていることは先ほど証明した通りだ。
では、一体何をもって「バカ」と言っているのか。

それは知能ではなく、「構造」が、だ。

いきなり構造と言われてもわけがわからないと思う。
それはつまり、体の作りについて、俺は言いたい。

もっと詳しく言うならば、放熱機能についてだ。
これはもう欠陥住宅を見るときの目で見てほしい。
断熱材が入ってるはずの場所にラーメンの発泡スチロールの器が詰まっているような、そういう次元の欠陥だ。

犬はご存知の通り、体の大部分が毛皮に覆われており、なおかつ哺乳類の中でも特段に底なしのスタミナで走り回るせいで、体に熱を溜めやすい構造を持っている。
夏にダウンジャケットを着てフルマラソンを走っているようなものだ、正気か。
おまけに嬉しいときは無意味に全力でダッシュするので、自ら熱量を増産している。
放熱設計が終わってるくせに発熱イベントだけは全力で開催してくる。
その根性だけは見習いたい。

我々人間が身体に熱を溜めた時、どう熱を発散するかと言うと、説明する必要もないほど明確に全身から汗をかく。
馬やカバだってそうしている。
カバなんて水浴びと汗腺のダブル戦法で余裕を持って夏を乗り切っている。

対して犬は、肉球と鼻の頭という面積が激ちっちぇ部分からしか汗をかかない。
そこから熱を解放するのは無理があるだろ。
ガリガリ君1本で家一軒涼しくしようとしているようなものだ。
バカすぎる。

その結果、奴らはパンティングという女性物の下着みてぇな呼称の行動をする。
あのハアハアと「今何色の下着履いてんの?」という電話をかけてくる不審者みたいな息遣いをするやつだ。
犬って下着好きの変態なの?

あるいは血管が集まった耳を立てることでも体内の熱を冷やしているが、多種多様化した犬界においてそれはもはや形骸化している。
垂れ耳の犬とかもう完全にラジエーターを自ら放棄した設計ミスだ。

パグとか、あの短い鼻のせいで呼吸すらままならない犬種に至っては、もう放熱どころの話ではなく、生存戦略そのものを人間の美的センスに人質に取られている状態だ。
可愛さのために機能性を全部投げ捨てた、その潔さは天才的でもあり、悲劇的でもある。

このうに、体が熱されやすい構造なのにも関わらず、放熱機能がカスすぎる。

生物の進化には数万年を要すると言われているが、犬が狼から進化して既に数万年経過している。
本来ならもっと効率的な熱処理機能を持っていたっていいはずだ。
数万年あって未だにアップデートされていないの、逆にすごい。
ある意味頑固というか、伝統を守り続ける老舗すぎる。


俺はこいつらをバカにする反面、哀れんでいる。
人間の都合で暑い地域に連れてこられ、効率的な進化もできない。
酷暑が話題になっているが、こいつらは自分でエアコンのスイッチを押す根性すらない。
なんて可哀想なんだ……。

よし、こいつらを家畜化したのは人間だ。
その責任を俺が全て一手に引き受けよう。

作ろう、近未来ドッグ。


まず、耳のラジエーター機能を取り戻すべきだ。
耳はデカく、そして立てる。
いや、っていうか水冷式のラジエーターもつけよう。
空冷式だけはもう古い。
令和にもなって空冷とか正直ダサい。
耳の他に、背中に冷却水タンクを搭載して、体内にポンプを接続する。
タンクの容量はそこそこ大きめにしておこう、真夏の散歩中に水切れを起こしたら本末転倒だ。

そして無駄に振っていたしっぽにファン機能を付ける。
嬉しい時にしか利用機会のなかった無用の長物だったしっぽが、モーター搭載のプロペラになり、風を巻き起こす。

どうせなら、アナルからも排熱できるようにした方がいい。
ラジエーターも冷え、体内からも直接熱を放出できる二重機構だ。

この機能により、散歩中お座りで信号待ちをしていた行儀のいいだけの犬が、青信号で歩き出した瞬間「ふおおおおおおおおおん!!!!」という爆音でアナルから爆風を吹き起こすようになる。
プリウスと違ってどこにいるのかわかるので、事故も少ない。
正に一石三鳥だ。
近所の犬全部これになったら、朝の散歩の時間帯、住宅街がちょっとしたF1サーキットになる。
ご近所トラブルの新たな火種になる可能性もあるが、それは後で考えよう。

それから、目も赤外線機能付きアイセンサーにするべきだ。
エアコンをひと睨みしただけで16℃の快適な風が流れる仕組みだ。
こいつを悪用すると、無駄に28℃とかに設定されてあるとち狂った公共施設の空調もハッキングすることができる。
犬はもとより人間の相棒だが、このハック機能を搭載することでよりバディ感が出てくる。
最高。

更に、あいつらはシャコタンすぎる。
アスファルトに覆われた現代日本の地面は、ただの熱された鉄板の上を歩く拷問と同じだ。
足の裏のダメージは当然だが、体全体に放射熱を浴びることになる。
まず肉球は全てシリコンゴムに変える。
それから車高を上げるために、脚の規格を全て120cm以上と定義させてもらう。
めちゃくちゃ美脚になり、ビジュもいい。
モデル事務所からスカウトされてもおかしくないレベルの脚長になる。
犬界のパリコレモデルの誕生だ。


完成した。

完璧。

この近未来ドッグさえいれば、犬自身だけではなく飼い主さえも日本の厳しい夏など恐るるに足りない。
最高の相棒だ。
そして俺はこいつを最高に可愛がってやりたい。

一応完成図も作ってみた。



これだ。




……


…………


なんこれ???

これ、犬か?

たしかに近未来感はすごい。
俺がガキの頃想像していた未来の「AIBO」はこれだった。

でもこれはどこからどう見ても、夏休みの工作で狂った中学生が作ったHORIZONのボスキャラだ。

美脚120cmのせいで全体の体高は2メートルを超え、アナルからは爆風、目は赤く光っている。
こんなのに夜道の散歩で出くわしたら、俺なら失禁する自信がある。
というか散歩じゃなくて、これもう討伐対象だろ。
近所のママさんたちが避難勧告を出すレベルの見た目をしている。

結論が出た。

犬の放熱構造は確かにバカかもしれない。
だが、熱中症対策のために犬をアナル爆風ロボサイボーグに改造しようとした俺の知能は、たぶん3歳児未満だ。
というか3歳児にも失礼なレベルだ。

ボーダーコリー先輩、大変申し訳ありませんでした。
俺よりあなたのほうが、圧倒的に賢いです。

そもそも俺は、何をとち狂っていたんだ。
効率?
爆風排熱?
美脚?

違うだろ。

俺たちが愛しているのは、無駄に毛だらけで、舌をベロベロ出しながら「ハアハア」と変態みたいな息を吐き、酷暑の中でエアコンの効いた部屋に入った瞬間、床に落ちたスライムみたいにデロッとトロけて寝そべる、あの臭くて可愛い生き物そのものじゃないか。

機能性がカスだからこそ、俺たちはあいつらにエアコンをつけてやりたくなる。
可愛さと世話焼きのギブアンドテイクこそが、俺たちと犬が数万年間、最強の相棒であり続けた理由だ。

よし、決めた。
今日も暑いから、近所の犬のために、最高に美味い冷やし焼き芋でも買って帰るとしよう。

アナルから爆風は出ないけど、プッと可愛らしい屁を一発かましてくれるはずだ。




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