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小学2年のボイスメッセージ

GPS端末。小さいやつ。を、子どもに持たせてるんですけど。
そのね、オプション機能に、ボイスメッセージというのがあって。
ボタンひとつで音声メッセージを吹き込めて、
親はそれをスマホから聞いたり、声で返事できるという。
まあこれが、ほんと、無限にうんこ。
うんこのことしか吹き込まれないの小学2年男児ともなると。
いちいち通知が来て、ピー「うんこうんこ」。
はーい、気をつけて帰ってきてねー。ピー「うんこうんこ」。

知らんよお前のうんこコンディションはよお。
もしかして「うんこ」って鳴き声の鳥なのか?
うーーーんこうんこうー・・・んこうんこうんこ・・う。
おや、もうそんな季節ですか、風情がありますな。じゃねーのよ。

情報ゼロの小学2年男児のさえずりが、
貴重な情報空間のリソースを無駄に食ってるんですよ。
ゆゆしきことと思いつつ、まあそもそも小学2年生なんて高エントロピー存在だし、なんだか慣れてきて、うんことのコール&レスポンスが成立するようになってしまったんだけど。

そんなうんこ情報発信専用端末を握りしめて、
我らが小学2年男児は先日、学童保育のお泊り合宿に旅立ちまして。 
GPSが今いる場所をリアルタイムに地図上にプロットしてくれるので親としては安心。予定通りのコースを進んで、宿につき、今頃夕飯食べてるかなーなんて思っていると、メッセージの通知があり。
おうおう、旅先なんだからいい加減なんか気の利いたレポート頼むぜと、開封してみたところ。

ピー「・・・さびしい」

と。

このメッセージ開いたときの我々ときたら。
まずもって、下の4歳女児と妻と3人で韓国料理食べに来てた。
長男にばっかりいいもの食われてたまるかと。
こっちはこっちで取り返すんじゃいと。
以前から来たかった噂のお店でたらふく食ってた。
あの・・・ごめん。
本場のキムチ食べててごめん。
助けてあげたいけど、きみ、今いるの長野で、我々は都内の韓国料理屋にいるんだ。
ごめん。ほんと。もぐもぐ。ごめ。もぐ。ご飯おかわりできます?

親元離れた小学2年生がひとり、
慣れない合宿所の片隅で孤独に耐えかねて泣いているかと思うと
本当にいたたまれない気持ちになる。もちろん。なる。
ただまあこれも経験と思っていたところもあるにはある。
いつも構いたがりの親が近くにいるとどうしても過保護になってしまう。
会話も馴れ合いになって、情報ゼロの投げかけでも意図を汲んでそれっぽく答えてしまう。
欲していることを察して、先回りして準備してしまう。
そういう環境から脱してほしかった。たくましく育ってほしい。
意味のある言葉を発することが大事な環境に身をおいて経験を積んでほしかった。
あと君が食べなそうな韓国料理をこっそり食べに来たかった。
すまん。そこはほんと。

残された家族3人、しばし放心したのち、
みんなで返信メッセージに「大丈夫!大丈夫!がんばれー!」という
なんの役にも立たないメッセージを吹き込んでその場をやり過ごし、あとは祈って帰りを待つしかなくなっていた。

その後、特に返答もないまま時は過ぎ、
小学2年男児は翌日、ヘラヘラしながら帰ってきました。
あのとき何があったの?と聞いても
はっきりとは答えてくれず、うんこうんこ言ってました。

成長感じさせてくれるじゃん。


でもあの時ボイスメッセージで流れてきた
君の声の切実さを父は忘れんよ。


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