プロットが定まらない!
こんにちは、本日はライトノベル作家の美鶴さんです。
ライトノベル3作目の電子書籍化が決まり4作目に入ったのですが、なかなかプロットにOKが出ません。
いやね、先生が言うことには――。
「1作目ならこれでOK出すけど、次で4作目なのでもっと欲張ってドロドロさせましょう」
このままでもストーリーは成立するし、会話を中心としたテンポのいい文章は得意なので「普通に面白い」ものは書けるでしょうけれど……せっかくならもっと大きな山と谷を作りませんかということらしいです。
それならばと、嬉々として人間関係を複雑にし、過去作ではチャチャ入れと応援に回っていた相談役の友人ともケンカさせたところ、それ自体はいいけれどとダメ出しが続きます。
「結月さん、悪女とか書くの苦手しょう」
……バレましたか。
結局、ライバル役のヒロインいじめが足りないところが問題なんですよね。なんだかんだ「悪い人ではない」感じになってしまうのです。
「作者の性格が出ちゃってます。結月さん、誰かを恨んだり怒りに任せて酷いこと言ったりした経験ないでしょう」
「……ないですね。どちらかというと、怒ると泣き出すタイプなので」
そして食べて寝たらスッキリしちゃうタイプなので。
イライラしてネチネチ言うことはたまにありますが、相手は十中八九父親で、それはもう何を言っても許されると分かっているからで、基本的に他人に負の感情をぶつけることができません。
「悪意をぶつけられたことは?」
「ないですね。人には恵まれて育ったと思っています」
これを即答できるのが美鶴さんです。
「でもライトノベル以外だと、結構性格の悪い小説も書いてますよ」
「それ、出していきましょう」
悪い男はダメなのに……?
「結月さんの場合、性格が悪いといっても割と表面的なんだろうなという気がしてきました。たぶんこれまでみたいなライトノベルが性に合ってるんですよ」
そんなことは……と否定しようとしてはたと気付きます。美鶴さんは多少ひねてるところはあるにせよ、嫌いな人間のためにわざわざ労力を割ける意地の悪さを持ち合せていないのです。
例えば、noteに投稿した中で一番の悪女が登場する話はたぶん『嘘つきと恋人の始まり』です。
こちらの美沙紀が妹を追い詰めるのは妹が大好きだからです。愛情が捻くれているんです。
愛故に人を殺そうとする男なら『結婚前夜』に書きました。
憎しみによって人を殺そうとする男となると……『そして少女に別れを告げる』のユキオとかですか?
でも、彼の殺意は悪魔が唆したものですし、最終的に憎しみを他者へ向けることなく彼は自殺してしまいます(唐突なネタバレ)。ちなみにどのキャラクターも妹ラブなのは筆者に姉と弟はいるけど妹はいないからでしょう。
実際に主人公へ悪意をぶつけ、策略を巡らせるキャラクターとなると『マーメイドブラッド』の貴島さんくらいでしょうか。
とはいえ、彼の悪意も人魚のせいで暴走したところがありますし、作者の愛が滲み出たせいで憎めないキャラクターに仕上がっています。悪い男大好きですからね。
そんな筆者の我が端的に現れているのが『変わりたいのはお互い様』です。
主人公を「育ちの良さが滲み出てるんだよな。(中略)親の愛情に恵まれて育った感じ」と評価した伊東先輩に弄ばれるのは、もはや私の願望だと思います。
つまり、美鶴さんには嫌いな人間に悪意をぶつける発想がないため、好意的に思っている相手をいじめる方向に走ってしまうようなのです。こう書くともう男子小学生ですね。平和なわけです。
なかなか進まないプロットに「例えば……」と先生が捻り出した悪女の嘘はとっても書くのが楽しそうでしたが、私には一生かかっても出てこないアイディアな気がしました。
「でも『書くのが楽しそう』とは思うんですね」
「言っても悪い男とか大好きですから」
「お願いだからヒーローのスペックは下げないでください」
分かってはいますが、育ちの良さが滲み出ちゃっている美鶴さんがときめく「非現実的な恋愛」は悪い男、悪い女に弄ばれる話なんですよね。私の現実にはいい人しかいないから。
「結月さんは本編に入ったらどんどん書ける人なので、今のうちに目一杯悩んでおきましょう」
そう言われたのでもう少しだけプロットに悩むことにいたします。皆様には、ときめきに全振りした既刊のライトノベルをどうぞ。
特に2作目Kindleの読み放題が始まったので、登録している方はぜひ。
……余談ですが、怒ると言葉より涙が先に出てくる美鶴さんが唯一言葉よりも涙よりも先に手を出してしまった事件を思い出しました。
あの頃私は中学2年生で「明日の体育は持久走だね。かったるいね」みたいな話を友人としていました。
「美鶴はいいじゃん、最悪サボっても先生に怒られないんだから」
気付いたら、相手の頬をひっぱたいてました。そして次の瞬間、ポロポロ泣き出しました。
「ちょっと、何で美鶴が泣くの?」
足の悪い私が時折体育を見学することを「サボり」とみなすクラスメイトがいたところで気にも留めません。陰口という自分に向かってこない悪意に気付けるほど、私は敏感な人間ではありませんでした。
しかし、負けず嫌いの私が先生から「無理しなくていいから」と心配されながら体育に参加していることを知っている友人の言葉には、冗談でも悲しくなってしまったのです。
「大丈夫、美鶴がサボらないことは分かってるから。ウチだったら堂々とサボるのに美鶴はすごいなって思ってるだけだから!」
その場でここまでフォローしてもらえたかは泣いていて覚えていませんが、美鶴さんが過去イチ他人に負の感情をぶつけたのがこんなにも可愛い事件だったことは事実です。
